short
□LOVE or LIKE
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LOVE or LIKE
どうして大学生にもなって「クラス」なんてものがあるんだろうか。私は、隣に座るこの男が嫌いだ。
入学式の日に抜き打ちで行われた学力試験で振り分けられた4つのクラス。頭の良さ的に言えば何番目のクラスなのかはわからないが、私はCクラスに所属することになった。
そこで隣の席同士となったこの男の名前は、秋吉裕也と言った。
少し謎めいた雰囲気を醸し出している奴で、伸びた黒髪にはうねうねとしたパーマがかけられていた。ゆるくてカジュアルな服を着て、いつも頬杖をついて外を眺めている。
少し離れた席に座る同じ高校出身の真美は、彼を見て「あの人の隣なんてうらやましい」と言っていたけれど、この男のいい部分は顔と雰囲気だけだ。
「なぁ、消しゴム貸してほしいねんけど」
授業が始まった日、この男が最初にかけてきた言葉は確かこんな言葉だったと思う。聞き慣れない関西弁に些か驚いたけれど、快く消しゴムを渡す。
彼はありがとうと微笑んでそれを受け取った。……までは良かったのだが、私の消しゴムはなぜかズタボロの状態で私の手元に返ってきた。