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□俺様彼氏
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「そういう啓太はどうなの?」
「あ?」
「私の足の指舐めれるの?」
「絶対無理。気持ち悪いもん」
「…気持ち悪いって」
どこまでも自分勝手な啓太は、私にそう吐き捨てると「んなこと想像させんなよ」と苦笑した。
最初に言いだしたのが自分だってこと、忘れているんだろうか、この男。
啓太とは高校のときからの付き合いだ。
クールな目つきと、あまり多くを語らない寡黙なところを好きになったはずなのに。
蓋を開けてみて、あらびっくり。彼は、ただの俺様男だった。
口癖は「お前が間違ってんだよ」を、ため息交じりに。
もしくは「俺の言うとおりにしときゃー間違いないって」を、自信満々に。
その自信とエネルギーは、どこから発生しているんだろうか…。
啓太ってさあ、本当に私のこと好きなの?
今更そんな野暮なことは聞かない。けれど、たまに思う。
いや。好きなの?とはちょっと違うかな。
私をなんだと思ってんの?これだ。だいぶ違うか。
今日だって、彼女のことを気持ち悪い呼ばわりで。
馴れ合いの関係にもほどがあると、最近フラストレーションが溜まる一方だ。
私のそんな悶々とした想いを知りもしないで、啓太は鼻歌なんか歌ってる。