short
□すき
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「ねぇ、」
「んー?」
「翔は、私のことどのくらい好き?」
「えー?」
足を押さえつけたまま、若干彼に寄ってそう問いかけた。
彼は少し考えて「こんぐらい」と言いながら宙に手を上げて自分の顔の横幅よりすこし大きめに両手を広げる。
小さすぎるんじゃない?と睨みつけると、どうして?という顔をして「そう?」と手を頭の下に組みなおした。
「そういう沙耶はどうなの」
「えー?このくらい」
「一緒じゃん」
「だって私だけこぉーんなのとか言うの癪に障るから」
私は手を目一杯広げて、大きな円を作った。
彼は眉を下げてまたくすくす笑うと、私の頭を犬でもあやすかのように撫でて
じゃあ俺ももこぉーんぐらい好きっつーことにしてやってもいいよ。
と、私の両手首を掴んでぐるんと回した。
心の中がぽかぽかするのだ。
彼が側で笑ってくれるだけで、心が幸せで満たされる。
本当は、こんな丸では表せないくらい、好き。
きっと彼だって同じ気持ちのはず。というか、そうであってほしい。