short
□LOVE or HATE
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「わー…むっちゃ上手そうやなぁ」
「絶対おいしいに決まってるし」
「なにその絶対的な自信」
秋吉はくすくすと笑いながら、ロールキャベツを小さく切って口へ運んだ。
次の瞬間、いつもぼんやりとしている瞳が、ぱあっと開くのがはっきりとわかった。それはもう、漫画のように。
「うんまっ!なにーこれー!」
「ロールキャベツ」
「それはもう聞いたっちゅーねん。うわーうまいわー」
図体のでかい秋吉は、ふたつ作ってあったロールキャベツをあっという間に食べ終えた。
ぱくぱくと本当においしそうに私の手料理を食べる秋吉は、見ていてちょっと気持ちが良かった。
自炊を始めてから、自分のために料理を作ることはあっても、誰かに食べさせることはなかったから。
誰かに食べてもらうって、しかも喜んでもらえるって、こんなに嬉しいことなんだ。相手が秋吉だということが不本意だけれど。