一番上の引出し

□なんとなく
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「そうだなあ」

「え?」

「ああ、何でもないよ」

「そう」

…………

…………

「……そうか」

「何?」

「そうか。そうだ」

「だから何?」

「……ん?」

「何が、そうなの?」

「……なんだっけ?」

「なんだっけね」

…………

…………

「ああ!」

「何?」

「そうだ。世界は……」

「壮大だね」

「僕の目に広がる世界は、なんて美しいんだろう」

「そうだね」

…………

…………

「僕は……」

「ん?」

「いや」

…………

…………

「……疲れたね」

「……そう?」

「うん。それじゃあね」

「……うん」









白い部屋の、白いベッドに眠っていた少年は、綺麗に微笑んでいた。









しばらく側にいた少年は、しばらくして、とても美しい、透明な雫を溢した。









その雫は、風が窓の外の木々を揺らす音以外何も聞こえない、静かな場所で、ずっとずっと流れていた。









しばらくして真っ青だった空が、赤く燃えてきた。









その空を見て、少年は微笑んだ。









あの美しい空のどこかに向かって、何よりも美しく、綺麗に微笑んだ。









「そうだね」









この世界は、きっと、何よりも美しい。








でも……








「でも、何よりも残酷だよ」











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