一番上の引出し
□響く
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響く、響く。
遠くに響いた。
これは何の音?
空が歌った時に聴こえる音楽は、遠く、遠く響き渡る。
晴れた時は、ゆるやかに、流れる小川のようなささやいた。
曇った時は、昔を思い出したように、優しく、悲しいメロディーが聴こえた。
雨の時、心が泣いた。空の声に共鳴するように……悲しい音色と共に泣いた。
嵐の時、友達とケンカした。何も変わらない空をずっと見ていた。何も変わらないまま、悔しい思いが溢れた。
夕焼けの時、もう1日が終わるという不安に押し潰されそうになった。太陽と月の美しいハーモニーで、いつのまにか元気になっていた。
真っ暗な夜空の時、一人で暗い道を歩いた。寂しかったのに、星が歌ってくれた。話しかけてくれた。たくさんの人がそばにいるみたいだった。
ある日見上げた空には、橋がかかっていた。色んな色をした橋だった。
まるでハープの弓のように見えたそれは、ハープにも、ヴァイオリンにも負けない美しい曲を響かせた。
全てが混ざりあった空は、とても美しい曲を聴かせてくれた。
どこまでも、どこまでも響いた。
そして、思った。
いつか……
いつか、空が歌ってくれた歌を歌いたい。
いつか、空がくれた優しさを伝えたい。
空のような美しい、綺麗な、心を持ちたい。
あなたの、隣でずっと……。
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