塵の結晶

□明日へ
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「って、言ってもなあ……」

実は、ただ年末年始がバイトづくしで、祖母の家に帰れないだけなのだ。
家族は、みんなで遊びにいってしまったので、家にいるのは自分だけ。
いくらなんでも、1人で年を越すのは寂しすぎる。
だからこうして、静かな場所に、何かを求めて歩いてきた。
初日の出を、誰と見るわけでもない。
ただ、なんとなく、誰もいなさそうな丘から、ただ静かに初日の出を見たいだけだった。

そこで、彼女に会った。







都合のいいことに、彼女も1人だった。
ワイワイ叫びそうなタイプでもない。
そろそろ明るんできそうな空を、僕らは一言も喋らずに見ていた。

そっと、声がした。

「あなたは、何をお願いしにきたんですか?」

いきなりだったもので、僕は少し驚きながら、聞き返した。

「君は?」

「質問に質問で返すのは、人間としてどうかと思いますよ」

……彼女は、間髪いれずにそう返していた。
感情のこもっていない声は、それでも不安に押し潰されそうに聞こえた。

「そうだなあ……」

これは困った。
僕は別に、初日の出に願をかけようと思っていたわけじゃないから、とっさに答えが見つからなかった。





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