塵の結晶
□唯一の赤でないもの
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今日もまた、口先だけで命令して。
今日もまた、私の一言で幾十もの命がなくなる。
答えは知ってる。
何を、どうすればいいかなんて。
ねぇ、あなたならどうする?
知りたいの。
あなたの答えが、知りたいの。
でも、私がコレを口にすることはないわ。
だって、そうしたらあなたは壊れてしまう。
私が呟けば、それは叶えられる。
私が叫べば、それは現実となる。
それなら……
失ったモノを取り戻したいと、願ったら?
そうしたら、どうなるの?
それは、叶えられるの?
それなら、いくらだって叫ぶわ。
何回だって、何十回だって……何億回だって!
それでも、戻らないというのなら、ただの幻。
コレは、ただの幻なんだから。
……早く、覚めてよ。
そんな王女の願いは決して叶えられることはなく。
血は燃え、炎は流れ、赤い国は増え続けるばかりであった。
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