一番上の引出し

□ユニコーンの角
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彼らの角は長いこと世界中で追われてきました。
今や彼の仲間は一頭として残っていません。唯一残っている彼でさえ、角は傷だらけで、体中には今にも枯れそうな椿が咲いていました。彼は悲しそうに鳴きます。

「僕らの角は簡単に人の心を奪えたから、みんな捕まってしまったんだ」

「じゃあ、人間が憎い?嫌いだよね」

この部屋は考える頭をどこかへ連れ去ってしまいそうです。枯れた椿が、いくつもそこにはありました。

「全ての人に忘れられるのが怖いから。僕は僕らを覚えてくれている人間が好きだよ」

ブチリと、何かを噛みきる音がしました。部屋を見渡しても、誰も少年を見ていてはくれません。少年がここにいることを、誰が知っているというのでしょう。たまに聞こえてくる音は、叫び声でしかありません。

「僕が覚えている。だから」

その角、もらってもいい?





いくつもの爆撃で灰も残っていない土の上に、大きな扉を見つけた。地下室だろうその先は、他に出入口が見つからなかった。長い間開けられなかった扉を開いた軍人は、おもわず顔を歪めた。
人だったものが、重なっていた。もがき、苦しんだだろう人々の目は暗く、人山の頂上には、ナイフを胸に刺す少年の姿があった。





――――――――――
小論の補習で書きました。
600字という制限で、さらに最悪なところでの改行ばかりだったので短いです。

先生からの添削は
「前半の地の文は抽象的なんだから、前半の会話文も抽象的にしたら?」
でした。
自分で打ち直して、激しく納得。
会話文、めちゃくちゃ現実味帯びてるじゃないですか(笑)
「会話文にいっぱい伏線張れたらいいよね……村上春樹とか読む?」
あぁ、読んだ時感動しましたが、みんなが騒ぎだした途端、読めなくなってしまいました(笑)
村上春樹さん、すごい会話の1つ1つの罠がすごいですよねー。
……とりあえず、久々のオリジナル更新でしたね(笑)


(20091119)

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