最遊記
□音のある声
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ある、風の強い日。
馬鹿猿が、拾ってきた。
なぜか、俺らが預かる事になった。
ずっと眠っていて、触ってもピクリともしない。
それを八戒に見つけられ、黒い笑顔が全身に降り注いだりした。
それから、1日、2日、3日、4日、、、5日がたって、
目を覚ました。
でも、近付いても、声を掛けても、反応しない。
青い瞳はずーっと、此処からは見えない空を見ている。
俺はその姿をずーっと隣で見ている。
「どうやら、聴力も視力も駄目みたいですね。」
八戒がお茶を啜りながら、言った。
捨て猫?
違う。
人間だ。
女、人間の女。
傷だらけの、弱りきった、人間の女。
青色の髪した、人間の女。
青色の髪した青色の瞳を持つ人間。
「×××。」
驚いて、一瞬、呼吸が止まった。
コトリと、八戒が湯のみをテーブルに置く音が聞こえて目を向けると、八戒は興味深そうに、見ていた。
俺を見る、彼女を。
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