最遊記

□コーヒー
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それは私が休憩中に、
一人で湖を見ていた時でした。

「何を見ているんですか?」

突然現れたのは、
お仲間の猪八戒さん。

「八戒さん!あっ、ありがとうございます。」

八戒さんが、はい、といつもの笑顔で私に渡してくれたは、茶色のマグカップに注がれたコーヒーでした。

「綺麗な湖ですねぇ。」

「はい、さっき魚が跳ねてましたよ。」

「それは、悟空に教えたら喜びそうですね。」


八戒さんは、自分の分のコーヒーを飲みながら澄んだ湖に見とれているようでした。



すかさず私は八戒さんから渡されたコーヒーに視線を移し、

八戒さんに聞こえない程度にため息を一つ。




……いえない、


私はコーヒーが飲めないなんて事を。


こんなのただの黒い苦汁じゃないか!

どこか美味しいんじゃい!

っというのが私の本音なんですが…


初めて八戒さんにコーヒーを煎れてもらった時、
せっかく、煎れてもらった物を返すのは悪いと思い、無理して飲んでしまって、


それから言うタイミングを逃してしまい、私は毎回出されたコーヒーの苦味を我慢して、一気に飲むようにしているのだ。




今回も一気飲みしようと覚悟を決め、


カップに口を近づけ…

…………ゴクッ!ゴクゴク

プハッ!



よし、今回も飲みきった


達成感のあまり、涙が出てきそう。(笑)


「美味しかったですか?コーヒー、」


八戒さんが笑顔で聞いてきた。

「はい、とっても!」

私も彼に負けないぐらいの笑顔を反射的に彼に返す、

「それはよかった、


今回はいつもよりいい豆を使ったんです。


結構高かったんですよ。この豆、二人だけで使いましょうね?

三蔵と悟浄は、インスタントで十分ですから(笑)」


あっあはは(泣)
お気持ちはとっても嬉しいんですが…。


「僕ね、あなたが毎回美味しそうにコーヒーを飲んでくれるから、とっても嬉しいんです。


だって、



一気飲みするほど好きなんでしょう?コーヒー」




違うんです。八戒さん。大嫌いだから、一気飲みするんです!



「三蔵達も、もう少し美味しそうに飲んでくれたら嬉しいんですがね〜」

「……あの、八戒さん、そのぉ、実は私…コーヒーがn



「まさか!今更コーヒーが飲めないなんて言わないですよね!」


!!!!!!!!!!


「………まさか八戒さん!こんだけ飲んどいて今更……あっあはは(泣)」

「ですよね?今更そんな事言われてもねぇ?あっそういえば、僕この前行った街で、豆をすり潰す道具買ったんですよ!
毎晩、夜な夜な皆さんの為にとゴーリゴーリと、コーヒー豆をすり潰しているんです。」


今、確かに、


「そっ、それは凄いですね。」



今、確かに、
八戒さんの笑顔が黒くなってました!!(泣)。



もしかしてあの方、
私がコーヒー飲めない事知っていながら、気付かないフリをしていたんじゃ…


「おや、


今更気付いたんですか?」



!!八戒さんに心の声を読まれた!?
ていうか、知ってたんですか?!



「僕、あなたが無理してコーヒー飲む時の顔が大好きなんですよ(黒笑)。眉間にシワ寄せて毎回飲んでくれるのが嬉しくって嬉しくって
……まさか、残すなんて有り得ないですよね?
ぼ・く・が・、淹れたコーヒーをですよ?」



そう言って彼はどこから持ってきたのだろうか、コーヒーのお代わりを唖然としている私に渡し、黒いオーラを出しながらどこかに行ってしまった。






私は片手に八戒さんに渡されたコーヒーを見ながら、呆然としていた。




八戒さんって、こんな人でしたか!?






end

いいえ違います(泣)

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