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□バニラとチョコのシェイク事情
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「絶対チョコ!」


「僕はバニラだと思います」


教室で言い合いをする2人。


今日もマジバのシェイクについて熱い討論を繰り広げている。




右、色無つばさ。


左、黒子テツヤ。




誠凛高校に入学して、たまたま席が隣になった。


時々、必要最低限なことを話すくらいの関係だったが、ふとしたきっかけでマジバの話になり・・・。


「マジバのシェイクと言えば、チョコって決まってるじゃないの!」


「僕はバニラの方が定番商品だと思います」


と、いつの間にか言い合いに発展していた。


それを毎日のように聞かされる火神はうんざりである。


「お前ら、またやってんのか・・・」


口を開けば、というわけではないが大体はマジバの話になる。


お互い頑固なため、いつも結論は出ない。


バニラはおこちゃまだの、チョコはシェイクの味をダメにしているだのお互い言いたい放題である。


一度火神にどちらが良いか話を振られたこともあるが、どちらについても恐ろしかったため、返答は出来なかった。


その時にうっかり“シェイクは好きではない”と言ってしまえば、さらに恐ろしいことになると予想された。


それだけこの2人のシェイクに賭ける思いは強かった。


「ってか、2人でシェイク買って検証してこいよ」


何気なく放った火神の言葉に2人の目が輝いたのは言うまでもない。












「てかさ、私達2人で来たらこうなるよね」


つばさの手にはチョコシェイク。


黒子の手にはバニラシェイクがあった。


「そうですね」


だからいつも結論が出ないのを、すっかり忘れてた。


「明日火神君にバカって言われそう」


「僕もそう思います。とりあえずどこか座りましょうか」


2人で席に着く。


その後は教室と同じでそれぞれ部活について話して過ごす。


でもやはり途中で、


「やっぱりチョコじゃない?」


「それは譲れません」


シェイクの会話に戻るのであった。


「そんなに言うならバニラ買ってくれば良かったなー。でも一口で良いし・・・」


「それなら、これをあげます」


そういうと、自分のバニラシェイクを差しだす。







「・・・はぁ?!」







完全に動揺しているつばさ。


「僕はそのチョコシェイクをもらいますので」


そういうと、強引につばさの手を引く。


そして、つばさの手の中にあったシェイクのストローに口を付ける。


「・・・やっぱりチョコは少し、くどい気がします」


何事もなかったかのように感想を述べる黒子。


「つばささんもどうぞ」


またまた強引につばさの手に黒子のバニラシェイクを握らせる。


「・・・早くしないと溶けてしまいます」


そう言われ、慌てて一口バニラシェイクを飲んだ。


「私には味が薄い様に感じます」


正確には動揺しすぎて、味わう余裕もなかった。







バニラとチョコのシェイク事情









「さぁ、帰りましようか」


「う、うん」


「顔が赤いですが、大丈夫ですか?」


「えぇっ?!だ、大丈夫!!」


あまりの熱さに、溶けてしまいそうです。

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