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□課外授業
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それは、レイの焼きもちから始まった


「ルカ、
どこへ行っていたんですか…?」

「レイ? 迎えにきてくれたのか?」

ここは森の奥で、他の天使とは滅多に逢うことはない場所

偶然に逢えるようなところではなかった


「ルカがなかなか帰ってこないので、探しに来たんです…」

以前、ルカにこの場所によく来るのだと聞いたことがあった


「鍛練だよ
ユダと技を磨き合っていた」


「………」

「…どうした?」

レイの不機嫌な表情に、ルカは慌てた



「またユダと…」


「……変な勘繰りはよしてくれないか?」

ルカは困り果て、目を逸らした
そこにレイから突飛な言葉が…

「ルカ、僕も修行しますっ!
付き合って下さい!!」

「っ…こら…
お前と私では力量に差がある…」

「なら、僕を鍛えて下さいっ!」


「レイ…
何をムキになっているんだ?」


「僕はムキになってなんかいません!
ルカが来ないのなら、僕から行きますよっ!!」

「…っ!?」


レイはルカに打ち込んだ

しかし、ルカは避けもせず、簡単に受け止める


「ふ…まだまだだな…」

「うぅ……」



「まず、構えが違う
それにスピードが遅い…」

「は、はい…っ」

真剣に指導してくれるルカに、レイは真面目に取り組んだ


(強くなってルカに喜ばれたい…)

「こうですか?」


「ああ…
ふ…少し打ち込んでくるといい」


「わ、わかりました…」

レイの表情が不安で曇る


「…大丈夫だよ
本気は出さないから」

「……はい」


* * *
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