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□桜
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桃色の花びらが舞う桜並木を、二人の天使が歩いていた
「こうして見ると、下界も天界に劣らないくらい美しいな」
「ええ…」
ユダの問い掛けに、桜に夢中になっているシンは話を流し気味だ
「…シンは桜が気に入ったようだな」
「有名な花なので、よく文献に登場するのですが、見るのは初めてで…
しかし、こうして見ると、色々な時代の人が桜に魅了された理由が分かったような気がします」
シンは風に舞う花びらを見つめながら、寂しそうな表情をした
「…もうすぐ散ってしまいそうだな」
ユダはシンの気持ちを察した
風に散らされたり、咲き終わったものが、道に積もっている
「惜しいな…
…もう少し見ていこうか?」
「はい…」
ユダは腰を下ろし、シンを手招きした
「少し休んでいこう」