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□すれ違い
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「シン!!」
ユダはすぐにシンに追いついたが、シンは背中を向けたまま振り向こうとしない
「……シン?」
「ぅ…目が覚めて、貴方がいないので探していたら…」
「誤解だよ…」
「いいんです…
貴方の手の早さなら、理解していますから…」
「っ…そんな風に思われていたのなら心外だ
誤解なんだ、シン…」
「触らないで下さい…っ!」
無理矢理に振り返させようと、ユダはシンの腕を掴むが激しく抵抗される
「花で口説いて、抱き締めて…」
「…っ、だから誤解だと…」
「もぅいいですよ…っ、…離して下さい…!」
「!!
お前は本当に頑固だな…
……ほら」
ユダはシンに先ほど摘み採った花を差し出すが、シンは受け取らない
「…お前のために摘んだと言っても、今は信じて貰えないよな…」
「…ぇ!?」
シンは顔を上げるが、ユダは既に歩き始めていた
追うことも出来ず、シンは立ち尽くした
「…ユダ」
シンは、足下に散らかった花を拾い集めるしか出来なかった…
* * *