Novel:real
□甘い誘惑
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バレンタインデーの夜。
僕は準備をしながら恋人を待っていた。
きっと光一のことだから、今日がバレンタインだということも忘れているだろう。雪崩れる光一の顔を想像すると、なんだか嬉しくなってきた。
そんな事を考えてるうちに、チャイムが鳴る。
僕は小走りに玄関へ向かった。
「ただいま」
「おかえりぃ」
何故か上機嫌な光一。よく見てみると、片手にはF1雑誌。
リビングへ入ると直ぐにソファーへ座り、それを読み始めた。
「…光一」
「……ん」
あー、こいつ、聞いてへんわぁ。無性に腹が立ってきた。
「光一、僕、風呂入ってくる」
「……ん」
こいつ…。恋人が風呂入ってくる言うてんのに、いってらっしゃいの一言もあらへんのか!?
頭にきたので、そのまま風呂場へと向かう。
チョコ渡すタイミングが掴めない…。
風呂から出ても、相変わらず雑誌に釘付けのままで、僕の話なんて聞く耳を持たない。
僕はキッチンへ行き、冷蔵庫を開けた。
そこには、渡しそびれているチョコ。
はぁ…と一つ、溜め息をついた。
「一体どうしたら…」
そこで僕は思い付いた。
自分から誘えば良いんじゃないかと。
それなら、F1雑誌に勝てる気がする。
「…よし」
ゆっくりと光一に近づき、隣に座る。
「…こぉちゃん」
「!?」
おぉ、びっくりしてる。(笑
こーちゃんなんて、あんま言わんからなぁ。
更に僕は追い詰める。首を傾げ、光一の膝に手を置いた。
「構って…」
…ほら、雪崩れた。僕の大好きな、僕だけに見せてくれる笑顔。
光一の手から雑誌を奪い取り、そのまま光一の膝に跨がる。
そして、光一の手やら髪の毛やらを弄ぶ。
「なんや、甘えたさんやな、つよ」
「…こぉちゃんのせいやもん」
「え?」
まだ気が付かない鈍感さに苛立ちながらも、平静を保つ。
「今日は何日?」
「2月14日やけど……あ」
やっと気付いたのか、光一の表情が固まる。
しきりに僕を撫でていた手も止まった。
「…遅いわ、アホぉ」
「すまん…」
「もぉ、チョコあげへん」
ぷいっとそっぽを向く。
…あげないなんて嘘だけれど。
「えー、光ちゃんチョコ欲しいわぁ」
「自分で光ちゃん言うなや。あげへん言うたらあげへん」
…とか言いつつ、内心あげたくてしょうがないんだ。
「…しゃあないな」
諦めの意を放つ光一の言葉に、僕は驚く。
「えっ!?」
慌てて光一の方を振り向くと、服の中に手を入れられた。
「あっ……やぁ…」
「チョコくれへんかったら、こっち喰うしかあらへんなぁ」
薄く笑った光一がぼんやりと見えた。
「やっ……あ…げる…からぁっ…」
「でも…」
光一の手が僕の中心をジーンズ越しに軟らかく握った。
「あっ……ぅ…はっ…ぁん」
「喰われたいやろ…剛?」
快感に耐えられなくなった僕は、涙目になりながら光一を見詰めた。
「ぅん…食べてぇ…?」
そのままゆっくり押し倒され、僕は美味しく食べられました☆
終われ
⇒懺悔