短編集

□日常と非日常
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日常と非日常

「ひどいな、これは」

 と手塚がつぶやくと、これはお前のところの一年の所為だぜ、と跡部は肩をすくめた。

 跡部の自慢だったキレイな外はねの髪が今では面影すらない。一気に姿を変えてしまった髪が気になるのか跡部はしきりになでている。そんな仕草がなんだかおかしくて思わず笑みを浮かべてしまった。

「なんだよ。そんなにおかしいのかよ」
「あぁ」

 手塚が素直に返してやると、跡部は不機嫌そうに眉を寄せた。じゃあ、かかりつけの美容室でやり直してもらう、といいながらもう一度彼は髪をなでた。

 さっぱりと短く剃られた髪は彼を以前よりも軽く爽やかに見せ、明朗な少年の姿に変えた。

 髪型が変わっただけでこんなにも人が違って見えるのだろうか。
彼が以前持っていた優雅で気品あるイメージとはまた異なる。こんなところに新たな一面が隠されていたのだと思うと、なんだか不思議な気持ちになった。
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