短編集
□kiss me please!
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Kiss me Please!
自分が好きだと思う相手の方も自分に好意があるっていうけど。じゃあ何で恋愛成功率は低いのだろう。とっくに地上はカップルだらけのはずなのに。俺はシャーペンを回しながら考えた。まわせばまわすほどわかんなくなる。
結局俺が好きだといっても相手の好きとは違うんだろ?
いらいらしてたらシャーペンの芯を折っちゃって、そんでもってテスト終了の鐘が鳴った。
「ねぇねぇ!自分が好きだなーって思っているとその人も同じように好意を持っているっていいません?」
「自分が恋愛感情を抱くと相手の方も同じく恋愛感情を抱くと仮定すると、そこら辺中で乱交パーティーだな」
「柳先輩ってえぐいこと平気でいいますねぇ…」
切原はしょんぼり肩を落とすと、ゲンジツ的すぎて夢が無いんだよと小声まじりでため息をついた。横でのんびりジャージから制服に着替える柳は真剣に答える気は毛頭ないのだろう。身を整え終えると鞄を肩にかけた。
「そういえば…今日の小テストはどうだったんだ?へますると弦一郎に大目玉食らうぞ」
「えぇーなんで知ってるんすか!!嫌っすよ〜この前みたいに監禁されるなんて!!勘弁してくださいよ〜」
「自業自得だな。俺が監督するとお前のやる気が持たんだろう。弦一郎だと緊張感が続くからな。仕方ないから諦めろ」
じゃあなと手をふりさわやかに去って行く後姿をこれほどうらんだことは無い。
最悪だ。チョー最悪で一番起こってほしくなかったことが現実になりそうな気がして、くらくらとめまいがした。
ふくぶちょーと
二人っきりだって?!
マジ勘弁。
俺は気づいてしまったのだ。病におかされていると。殴られすぎて頭が沸いちゃったのかもしれないとなんべん思ったんだろう。
でもケッカは明白だった。
俺はふくぶちょーを
意識している。
別に憧れで終わればよかったんだ。問題なのは気づいた時には飛び越しちゃってたってわけ。あ〜俺どうしちゃったんだろ…。フツーにモデルみたいなキュートな女の子をげっとして、フツーに恋愛生活をおくるテニスもできる立海一のグットルッキングガイになるつもりでさ。こんなはずじゃなかったのに。正反対じゃねーか!
もともと俺はにっぽんいち強い立海大テニス部でにっぽんいち強い男になるために、必死にベンキョーして入学したんだ。
すでに地元のクラブでは敵なしだったし、誰よりもテニスが強いという自負があった。テニスの大会なんか出なくとも、一番強いやつだけ叩きのめしてやれば日本一の称号は俺のものだ。
俺にしてはすごくゴウリ的な手段だろ?
テニス部に入部してからだ。俺は機会をうかがっていた。どこにでも噂にさといやつが一人はいるもんだ。
すぐに一年のときからレギュラーの座を得ている三人の名を聞くことになった。すぐに俺は行動に移し、その三人のなかで一番強そうなやつに勝負を挑んでやった。
それがすべての始まりだった。
そして、
そこからが俺の転落人生。