長編小説

□もののけ1
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しんと静まり返った街。
何もない。
何もない。
探しても探しても見つからない。
周りにあるのはぼやけた影法師で、ふらふらと彷徨っている。

助けて

誰か

少しづつ闇が深みを増して近づいてくる。
お願いだから、俺の大事なものを奪わないで。
真っ黒な影法師にすがり付こうとした腕はむなしく空をきる。
ゆっくりと遠ざかる影。

誰か

誰か

置いていかないで

独りにしないで
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