* 頂物文 *
□ワンス クリィズィ
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さぁ、選択しなさい。
あなたの自意識を試してみせましょう
ロシアンルーレットで貴方は逝くのかな?
ワンス クリィズィ
「ラビ!!そっちに1人行ったわ!」
「おうさ!!」
「神田!!三歩踏み出してそのまま跳んで刀を振り下ろしてください!」
「了解だ」
今回の任務はある族の壊滅。
元々小さな集落だったのにも関わらず、上層部の司令官はその小さな中にも大きな戦力が隠されていると踏んで僕らをここまで送りつけたのだ。
ラビの構えたランチャーは1人、そして神田が降ろした刀によってもう2人、最後の仕上げとして赤い鮮血を降らせた。
「ナイスコンビネーションだったわね、ラビ、神田!」
「そりゃあ〜伊達に俺等一緒に生きてきてないもんなぁ」
「……知るか。俺は昔のことなんて覚えてない」
まるでどうでもいい、と鼻で答えた神田の後ろ姿を追いかけるけれども、道にある夥しい血の量の中を生きてきたラビと神田の仲を、少しだけ。ほんの少しだけ、気になった。
多分、今思うなら神田とラビの仲を心どこかで嫉妬していたのかもしれないし、羨んでいたのかもしれない。
僕はつい先日、忠誠の表明として神田との故意の暗殺を強いられた。
どうやらそれは神田側も同じだったらしく、両者とも同盟のことなんて露知らず相打ち合った。
もっとも、神田の容姿端麗でとても人殺しとプロとは見えなく、逆に違う意味で生命を宿すような性交渉をしてしまったのだが(神田は男だからどう間違えたって子供は生まれてこないし、あの場は多分強姦に近かった)。
¨また会いましょう¨
呟いた言葉はそう近いうちに現実となり、今では同じ位置に立って堂々と神田と協力をして暗殺をこなすことが出来るようになったのだ。
…………だけど、やっぱり埋まらないものもあるというもので。
別に、実際合切神田の過去がどうであれ今自分が神田を好んでいればいいのだ、と冷静を装って頭に暗示をかけていたつもりだったのだが、どうも、僕もやはり人間とあって独占欲だってあるし嫉妬だって人並み、もしくはそれ以上だってする。
だから、多分。ここで多分を付けたくなるのは、神田を縛り付けて監禁して、僕以外とは話してほしくないという異常気質な独占欲なぞあるのだろうか、と初体験な感覚に戸惑いを感じているからだ。
「待ってください、神田!!」
「おいおいー、アレン。ユウはこの後1時間は1人にしてもらわんとキレるぞー?」
またしてもラビの神田知ったかぶりの発言に、懐にある銃に手を掠めてしまった。
いけないいけない、裏切りの行為は自身の命で清算しなければならない。
そんな馬鹿な行動、誰がとるものか。
取り敢えずここは平常を装って。
「へぇ……そうなんですか」
にっこりと、笑って。
「ねぇ、神田。聞きたいことがあるんですけど」
丁度律儀にも一時間後にその場へと戻ってきた神田に視線を向けて、先程と同じように、にこりと。
皺を寄せた彼とほぼ同時期に、互いの額へ銃口を
「てめェ、何考えてやがる」
「神田こそ。…どうです、このまま命を懸けたロシアンルーレットでもしますか?」
「はっ、てめェのお得意なポーカーフェイスが似合う条件じゃねェか」
現在の仮面の存在にすら気付く、神田のその射抜くような瞳にゾクリ。
ああどうしよう、やはりこれは独占欲と呼んでもいいのだろうか。
しかたない、体中を巡るのは確かな快感、快楽、欲望
『Have a arm and,kill you!』
『I'm not nothingness.』
さぁ、どちらが勝つのか?
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