* 頂物文 *

□ワンス クリィズィ
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まずば当てた米神にカチャリ、人殺し専門の器具は寂しく音を響かせる。
回す弾は一本、当たる確立六分の一。
白髪にめり込ませ、しかし勝利を確信している僕にとってはただの前戯、不敵に笑ったその笑顔に神田は嫌悪



「それでは、いきます」



引き金を引き、さぁ鉄拳を


「バンッつ!!!!……ふふ、なぁんて、ね」


勿論その音はカモフラージュ専用の口での擬音
さらに額を支えた神田の手には、渡された希少価値の高い黄金性の道具
飛び道具を本来ならば使用しない神田にとっては戦場の場では感じられない緊張を纏っているのだろう。





『ready?』

『……well,』



カチャリ、先程よりは重い微かな音
同じく鈍く黒髪に突き刺さり、そこのみに凹みを作る。
指が引かれるまで、体感時間約0.34秒。


『you are defeated,kanda』



バシンと跳ねられた音、先程の口真似とは違った、本物の轟音
負けた敗者の命は勝った勝者の勝手に
倒れかけた体を引き寄せて、そのまま口付けを交わす。
汚く血が流れている地面に気付かないふりをして、それは互いの熱を分け与える行為と比例しなくはない。



「んぅ…、、んんふ」

『I'm winner….』



それは、僕が望んでいることを、行為を、心を引き出すが故の前戯
温かく心臓が動くその場所を殺すかのように









「ほら、僕のためだけに啼いてもらいますよ」


頭を掠める、赤毛を翳した眼帯の言葉に酷く吐気を起こしながら













「さぁ、やらしく脱いで…?」



カッターシャツの前に震える指先を絡めての、ごくもどかしい光景。
白いその服にだって負けないその白い肌に行く数もの屈辱のマークをつけたかなんては遠い日の話
もっとも、現在もその日を遡るような光景を目の当たりにしてその日の神田の痴態を思い出すだけで体が気持ちよく疼いた。


はたりと落ちたものと裸体で、どういう格好を取っていればいいのかなんて知るよしもない神田は、前を隠そうと腕組をして誤魔化そうと出た。
しかしながら、僕だってそんな神田のことをおちおち許すはずもなく、ただ2本の腕で「その腕を下ろせ」と命令を下した。
ゲームと称された命のやり取りの敗北者は悔しそうに唇をひん曲げ、腕を真っ直ぐ下ろした。



赤く熟れたその場所は空気に触れたことにより少しだけ膨らみを持ち合わせ、当の本人はというとただいたたまれなさそうに視線をズラしていた。


「神田、こっちを向きなさい」


ギヂキチと音が鳴るのではと思うくらいのぎこちない動きで、その瞳に僕が映される。
やっと気を良くした僕に気付くよしもなく、神田はこの状態から早く逃れようとせめて赤面した頬を必死に押さえようとしていた。

……無駄なことだって、分かっているのかな



「そのままズボンも脱いで、ベットに仰向けになって横になって」



命令口調なのは俗に上から目線を堪能したがっただけだ。
深い意味は持ち合わせていないのだが、神田はそれを何ととったのか吃驚するほど従順に従ってくれ、こちらもまた加虐心に火を付ける
可愛い神田、きっとこれから何をするのかなんて考えちゃいないんだ
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