文
□2娘1嬉しくも哀しい響き
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――キーンコーンカーンコーン…
授業も終わり、鞄へ荷物を詰めているのは長く美しい黒髪を高くに束ねたミニスカートの似合う少女。
どこか人を寄せ付けさせないオーラを纏う彼女は、チラリ、時計へと目をやる。
(そろそろか…。)
そう心の中で呟いたと同時、ガラリと教室のドアが開いた。
「神田、帰りましょう!」
そう言い神田と呼ばれた少女の傍へと近付く白を纏った声の主。
「あぁ、少しだけ待っててくれ…アレン。」
目の前へとやって来る白い少女に神田は安堵の息を吐く。神田にとって、アレンだけが唯一心を赦せる存在なのだ。
この時間はいつも周りの女子が奇怪なものを見るように、また興味津々と云うような目をして2人に視線を向ける。
『アレンちゃん!』
「何ですか?先輩…」
神田のクラスメート達に呼ばれたアレンはごめんね、と笑顔で神田から離れて行った。あぁ、とぶっきらぼうに返事をしては荷詰めを再開する。
後ろから聴こえてくるアレンとクラスメート達の声に小さく溜め息を零した。
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神田とアレンは、年齢は違うものの、家が隣同士だった為に幼なじみとしてずっと一緒にいた。何をするのも、どこに行くのも一緒だった。
神田が高校に進学するとアレンが後を追って同じ高校へ入学した。暇があれば一緒で、小学生の頃から(勿論今もだが)"2娘1"だと呼ばれ、自分達でも自負する程だった。
いつでも優しく明るいアレンが神田は大好きだった。友人として、幼なじみとして…、そして恋の対象として、アレンの事を愛していた。
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