番外編

□10.5話
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君に昔話をしてあげる

本当は思い出したくもないのだけれど…



















そう、あれは珍しく守護者が全員揃って夕飯をとった時の事…

















「今日は私が皆の夕飯作るからね?」

「君、料理できたっけ?」





もう長い間一緒にいるけれど、一度も包丁を握った所なんか見たことがなかった









「任せて」












胸を張って言われたら仕方がない











「わかったよ…」





その旨を獄寺に伝えて食堂で夕飯を待っていた







君は基本的に何でも出来たから、皆は待ってる間期待に胸を膨らませていたみたい












「お待たせ」




そう言って運ばれてきたのはハンバーグにサラダ、ご飯、スープなど














「ワォ、凄いね」

「美味そうだね」

「やるな…」

「やっぱりお前、何でもできるのな!」

「極限美味そうだ!」

「いい匂いですね」

「早くいただきましょう」

「…食べたい」








僕を始め皆が口々に褒めるように目の前におかれた夕飯は飾りつけまでこだわった本当に美味しそうな代物で、

匂いだけで空腹が煽られた















「自信作なんですよ、食べてください!」
















軽く微笑んだ君を見て皆同時にフォークを口に運ぶ







そして…













「「「「「「…ガハッ!!!」」」」」」














ハンバーグを口に入れた瞬間










―ガシャンッ

―ガタンッ

―ピシャンッ

―ドタッ












様々な音をたてて一斉に床に倒れた











…僕以外は














「皆?!」


立ち尽くす君は何が起きたか分からないみたいで









「凄いね」


僕は涼しそうな顔をしていたけど、実際今にも倒れそうだった











「恭弥、美味しい?」
















こんな状況で美味しいかどうかと聞いてくる君に軽く腹が立った



でも「う…うん…」と答えるしかなかった















見た目と違った破壊的な味は言葉では表せない

是非とも体験してもらいたい











結局、僕は珍しく微笑む君を横にソレを全部食べきった













「…ごちそう、さま…」

「お粗末様でした」














そうするとどこからともなく拍手が聞こえて…
















意識を手放したんだ
















(その後僕は1週間寝込んだ)






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