番外編

□0.0001話
1ページ/1ページ






昔話

昔話、









まだ僕らが中学生で日本にいた頃の話




















「皆で夏祭りに行こう!!」



まだまだ黒くなる前の沢田に誘われたとある夏の日









「夏祭り…?」

「ひ、雲雀さんも、来てください!」



「恭弥、行こう?」

「君も行くの?」

「うん、浴衣っていうのを着せてもらうの」











あぁ、生まれも育ちもイタリアの君は「浴衣」を知らないのか


好奇に輝いた目で見つめられ、最終的に僕は折れた


群れは嫌いだけど君がいるから…
























「恭弥、あれは…何?!」



神社に着いてから君は凄く楽しそうだった

藍色の浴衣に白い肌が映えて髪を結い上げて、いつもとは違う
そんな綺麗な君に僕は手を引かれていた


いつの間にか沢田達はいなかったけれど…まぁ、いいか











「あれは射的、弾を当てて倒せばそれがもらえるんd「おじさん!一人分!」





最後まで聞いてよ







「あいよ!可愛い嬢ちゃんだねぇ、弾1つオマケしてやるよ!」

「ありがとうございます!」













あぁ、このおじさんは後にこの行動を後悔するんだ


なんせ彼女は暗殺者

得意な武器は銃器全般なんだから

















「これはスクアーロに、これはルッス、ベルでしょ?ボスに、兄さん!これは私の…」











君の両手には抱えきれなくて、僕の両手も塞がるほどの景品の数々


おじさんは店じまいを余儀なくされた
何で一発で5つほどの景品が倒れたのかとブツブツいいながら











「ねぇ、重いんだけど…」

「私も…あ、あそこに行こう!」






指を指した先にあった池のほとりのベンチ

さすがにここには人はいなくて










「大漁だね、楽しかった?」

「楽しかった、日本っていいなぁ、今度皆で来たいなぁ、」










君がファミリーを思う気持ちは本当に羨ましかった

思われてる人たちを羨んだ













「はい、恭弥の分」

「えっ…」






差し出されたのは僕が欲しがるわけもない熊のぬいぐるみ










「私とお揃い!」

滅多に見せない満面の笑み

思わず熊を受け取って…

















―ドォォォンッ












「?!」

「花火、だよ」

「…花、火?」















夜空一面に咲く大きな花達










「綺麗…」

そう呟く君は空に釘付け






「ありがとう…」









そんな君に気付かれないように、君を見つめながら熊を撫でた


















ファミリーを思う君




その中にいつか僕を入れてくれる?














そして、願わくばその中でも特別な人間になれますように…


















(あの頃はいつもこんなことを思ってた)
(まだこの時の熊はちゃんと僕と君の部屋に)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後半割りと真面目になりました。管理人的には気に入ってます!
この頃はまだまだ二人は恋仲ではなく、ヒロインはヴァリアーやディーノが大好きな子だったんです!





再UP:H20・9・3

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ