ゆめをみるひと
□してみる?
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ちゅっ。
軽いリップ音と共に、私の頭は真っ白になって。
目の前には、タランスさんの顔。
……あれ?私、今、なにしてる?
「た、タランスさ、あ?」
「なんスか」
タランスさんの顔が離れて、唇の圧迫感が、なくなって。
そしたら急に、酸素が足りなくなった気がして、慌てて深呼吸を繰り返す。
同時に、顔に血が上る。
そんな、まさか、嘘でしょ?
「うひゃ……そんな顔して、ひょっとして誘ってるんスか?」
「誘ってません!」
寧ろ、誘ってんのはソッチだろーが!!
そう叫びたいのを堪えて、憎たらしい笑みを浮かべるタランスさんを睨みつける。
あ、なんか、視界がぼやけてる。
「な、なんで、こんな、」
「したかったから、っス」
そう言えば、余裕を見せつけるように、自分の唇を舐めて。
けれど、その頬が僅かに赤くなってるのは、黙っておくべきか。
それとも、今、私がタランスさんにキスし返したら。
この人は、いったいどんな表情をするだろう?
してみる?
(想像だけで優越感に浸れる私)
初チッス。