ゆめをみるひと
□この頃流行りの
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何時間前からですか、この攻防。
「あげるって言ってるでしょ」
「いらんと言ってるだろ」
「素直じゃない!このツンデレ!」
「誰がツンデレだ」
フンと鼻を鳴らし、日吉はそっぽを向いた。強がりな性格もツンデレ要素も私は全部知ってるつもりだけど、コレは酷いぜ若様。だって、膝から血が溢れてるんだもん。
「化膿するってば」
「舐めときゃ治る」
「治るわけないでしょ!口の中って雑菌だらけなんだから!余計悪化する!」
「そんな事、知ってるに決まってるだろ。冗談だ馬鹿め」
「うわあぁ馬鹿って言ったぁ!!明日から日吉の事ツンデレラって呼んでやる!!」
「煩い喚くな」
「誰の所為だ誰の!」
「知らんな」
「………」
日吉は立ち上がりながら、私の事を鼻で笑った。喧嘩売ってんですかコノヤロ。
「じゃあな」
「待てぃ!助けてもらったのに、これじゃ後味悪すぎだよ!」
「…俺が勝手に手を出しただけだ」
「けど…私、重かったでしょ?」
「ああ、そうだな」
「そこはフォロー入れてくれないんだ!?」
校舎の昇降口から落ちた私を支えようとして一緒に落ちた時の日吉の体温が、まだ私の背中に残っている。
「それに…今から部活じゃない!」
テニス部のジャージを着ている日吉。血がついてないだけマシだと思いたい。
「絆創膏なんて貼っていったら、向日先輩になんて言われるか…しかもお前のだし」
「流血したまんま部活行く方が変だと思うよ!?っていうかそれはどういう意味だ!!」
私のツッコミを無視し、日吉は歩き出す。
「オイ!無視か!」
「…絆創膏」
「は?」
突然立ち止まって、
「あ…あとで、使ってやる」
私に背を向けたまま、呟くみたいに行った。
「…日吉ィ!やっぱり好きだあぁ!!」
「なっ…!いきなり抱きつくなッ!!」
「ってかさ、なんで日吉はあんなトコにいたの?」
「そう言うお前はどうなんだ」
「んー…日吉が来る気がしたから?」
「…フン」
「笑うなよぉ!」
「奇遇だな。俺もだ」
光をうけて、きらきらしてる