野良猫の飼い方

□躾は忘れずに
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あの真っ黒な猫だけでも嫌だというのに。

ああ、苛つく。






躾は忘れずに






「ヒバリくん、ムクロくん、あのね、今日はわたしのいとこがうちに来るんだって」
「ニャア」
「…………」


いつものようににこにこと嬉しそうに言う女に、ヒバリはいつものように小さく「そう」と相づちをうった。
僕も当然、いつものように無言で返した。


「ヒバリくんは会ったことあるよね、ツナくん。ムクロくんは初めてだったかなあ?あ、二回目かな?」
「ニャア」
「…………」


うん、ヒバリはまた相づちをうった。僕はまたも無視。
無言で女の膝で丸くなっているヒバリを睨み付けた。

じっと見ていたらヒバリが視線に気付いたのかこちらを向いた。
ヒバリは勝ち誇ったような顔をして、ふん、と鼻で笑った。忌々しい。
(別に、僕が撫でてほしいからじゃない。ヒバリが気持ちよさそうなのが嫌なだけだ。)


ピンポーン


僕とヒバリが睨み合っていたら、気の抜けた玄関ベルの音が聞こえた。


「ツナくん、来たみたい」


ちょっと待っててね、そう言って女は僕らの頭を片手ずつで撫で、パタパタと玄関の方へ走っていった。

女が覗き窓で外の人物を確認し、ドアを開いたら、一度嗅いだことのある臭いがした。
その臭いに少し憂鬱になって、思わずハァ、と溜め息をついた。


「ツナくんいらっしゃい!」
「うん、姉ちゃん久しぶり。これ、母さんから」
「うわー、ありがとー!奈々さんにお礼言わなきゃ!」


いとこと女は玄関口で楽しそうに談笑している。
女の声色が、いつも僕やヒバリといるときよりも明るく、楽しそうなのが気に入らない。この空間に、僕とこのひと以外がいるのが気に入らない。

無性に、あのいとこを引っ掻きたくなった。


「あ、わたしお茶入れてくるからツナくんは座って待ってて」
「うん」


いとこが僕とヒバリがいるソファへ向かってきた。
ヒバリはむすりとして、いとこを見ない。というかいないものとして扱っているようだ。
(前回いとこが来たときにひっかいて、あの女に怒られたのが効いているのかもしれない。)

いとこはヒバリを避けるようにしてソファに座った。びくついたような態度をとっていて、ヒトのくせに情けない、と思った。

じっと観察していたら、こちらを向いたいとこと目が合った。


「えっと、おまえムクロだっけ?姉ちゃんに首輪もらったんだな」
「……ニャー」


だからなんですか。僕は少し間を空けて返事をした。
いとこは僕が反応を示したのに満足したのか、にこりと笑った。笑顔が少しあのひとに似ている、と思う。


「よかったな、姉ちゃんに拾ってもらえて。姉ちゃん優しいからなあ」


そう言って、いとこは僕に触ろうとした。伸びてきた手に、全身の毛が逆立った。
そして思わず、やってしまった。

――バリッ


「いってー!!」
「ツナくん!?どうかした……あ、ムクロくん」
「フー!」


女は僕をいとこから離すために、ひょいと抱き上げた。


「ムクロくん、ダメでしょ!ツナくん引っ掻いちゃ!めっ!」
「……ニャー……」


すみません、女に叱られて仕方なくそうは言ってみたものの、このひとに気に入られているいとこが、気に入らなかったのも事実で。

僕はいとこを引っ掻いて少しスッキリしたのだった。





躾は忘れずに
もー、何できみたちは毎回ツナくん引っ掻いちゃうのかな!
((……だって、気に入らないから))






つなよし、毎回毎回かわいそう(笑)
でも姉ちゃん大好きなので遊びに来たいし、にゃんこたちとも仲良くしたいのです。

まあ、にゃんこたちの我が強いのでなかなか難儀ですが(笑)

お題と、合ってない気がする←






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