R×T
□絡まぬ螺旋 U
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暫くティエリアの口内を掻き回した後、ライルの舌がティエリアの唇を一撫でし、ようやく唇が解放された。
一瞬ライルの手の力が弛んだ隙に、ティエリアはライルの身体を力一杯押し返し、彼の側から離れる。
呼吸と、鼓動の乱れが、なかなか収まらない。
「…邪魔したな。」
ライルは踵を返すと、ティエリアが反応する余裕も与えず、そのまま真っ直ぐ展望室を後にした。
スライドドアが閉まると、展望室内は再び静寂に包まれる。
ティエリアは途端に全身の力が抜け、ガラスに凭れるようにして、その場に座り込む。
ガラスの冷たさに驚き、同時に、体温が上昇していることに気づかされる。
「何の…つもりだ…こんなこと……。」
当然、応えは返らない。
上気した体温はガラスの向こうの海に少しずつ溶けていく。
ふと、ライルが見せた揺らいだ瞳が思い出される。
一体、何がライルを苦しめている。
何故、キスなどする。
何故…。
彼の真意が、わからない。
――それぞれの想いは、
重なれども絡まることはなく、
ただすり抜けていく。
絡まぬ螺旋 U end