【純粋な瞳に対する発言 5題】


□3.そんな目で俺を見るなぁあぁぁ!
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「あ…」

「あ…」

たまたま通り掛かったロックオンの部屋。
何故かドアロックが解除中のままなのが気になり、気紛れな親切心で教えてやろうとインターホンにを押すつもりが間違えて隣のドア開閉ボタンを押してしまった。
それがそもそもの間違いだった。

「…一応聞くが、何をしている?」

「あ…ははは、スメラギ女史には内緒な?」

「……。」

その答えで全てがわかってしまった。

部屋に作り付けられている机の上には、光沢のある金色のラベルが巻かれているオリーブ色の硝子瓶と、グラスに注がれた深い紅色の液体。
そして白い顔に対して不釣り合いに赤々としたロックオンの頬。
確か、あの瓶は先日地球に降りた際に買い出しリストにあった、限定生産品のワイン。
スメラギが開封するのをやたら気にしていたが…そういうことか。

普通に頼めば済むことなのにこそこそと…。
何て子供染みたことをする奴だ。


「付き合う義理はない。スメラギ・李・ノリエガに速やかに報告させてもらう。」

「ちょ…待てって!ティエリア!」

ロックオンが慌てて立ち上がる。
その拍子に手にグラスが当たり、グラスが宙を舞う。

中の液体がグラスから飛び出し、綺麗に弧を描いて…

バシャッ…

「あ…」

パリー…ン。

避ける余裕も無く…

頭からまともに液体を被った。

髪を伝ってワインの独特な匂いが拡がる。

「…貴様…万死に値する…」

「わ、わざとじゃないんだって!」

「そんなの関係な…っ!クソ…目に…」

眼が全く開けられない程にしみて痛い。生理的に次々と涙が溢れてくる。

眼鏡を外しカーディガンの袖で眼を拭いても、痛みの元はまだ取れそうにない。

「と、とにかく洗わねぇと…」

ロックオンが近付く気配がする。


その時、別方向から声が聞こえた。

「ロックオン、ガラスが割れるような音がしたが…何かあったのか…」

「あ、刹那っ!?」

ロックオンが落としたグラスの割れる音を聞いて、刹那がやってきたようだ。

「……悪い。邪魔をした。」

…?どういうことだ?

「あ…、いやいや!違うんだ。コレには理由があって…っておい!勝手に去るな刹那!そういう時だけ空気読むな!そんな目で俺を見るなぁあぁぁ!刹那〜!!」

足跡が遠ざかっていく。
刹那は自室へ戻ったようだ。

その合間に何とか眼を開くことが出来るようになった。まだボンヤリとだが見ることも出来る。

「…ロックオン?」

目の前のロックオンを見上げると、刹那が去っていた方向に身体を傾けたまま、項垂れている。


「もう…黙って人のお酒呑むの止めます…。」





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