【純粋な瞳に対する発言 5題】


□4.時折さぁ、お前のその目に宇宙を見るよ
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「時折さぁ、お前さんのその目に宇宙を見るよ。」

プトレマイオスの展望室一杯に拡がる宇宙空間を眺めていたロックオンが、姿勢は変えないまま、静かに語りかけてくる。

「貴方という人は…何をバカなことを言っているんだ。」

新手の口説き文句だろうか。聞き流すに越したことはない。

本の内容へ意識を戻し、ページを繰る。

だか彼は、それを許してはくれなかった。

右隣に座っていたロックオンはそのまま身体を捻って本を奪い取り、通路を挟んだ向こう側のベンチに本を放り投げる。

まるでその行動は、気を引かせようとして悪戯をする子供と同じだ。私は憤りを覚え、非難の眼差しを向ける。

「何をする!ロックオ…ン…」

言葉が、
続けられなかった。

貴方が、
そんなに切ない顔で、
笑うから。

ロックオンは、振り向いた時に乱れた髪を、グローブを嵌めたままの手で鋤いた。
少し冷たい革の感触が心地いい。


「…ホントだって。宇宙のような、果てしなさを感じるんだよ。知れば知るほどにな。」

ロックオンの柔らかく囁くようなその声に反して、翡翠色の瞳は私の眼を伝って身体の奥まで暴こうとする力強さで貫く。

「なぁ…俺は、ティエリアに広がる宇宙の、どこまで辿り着けてるんだろうな。」


私はそれには答えることも、

応えることも出来なくて。



彼の身体を抱き締めて、

声に成らない想いを伝えた。





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