N×T

□カミに触れる手
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「刹那ー、お〜い、刹那〜!」

プトレマイオス艦内の通路や部屋を一通り廻ってみたが、肝心の人物はどこにもいない。

仕方がないので、捜索のスタート地点でもある通路の壁にもたれ掛かる。

「そろそろしておいた方が良いんだけどなぁ。…また明日にするか。」

特にすることは無いけれど、自室に戻ろうと身体を起こしたその時、

「何の事だ?ロックオン・ストラトス。」

いつの間にか真正面に立っていたのは…

「お、ティエリア。」
いつものパステルピンクのカーディガンにベージュのボトムという恰好で、腕を組んで姿勢よく立っている姿はお決まりのポーズ。

「貴方は独り言が多い。声に出さずに考えられないのか?」

「あぁ…いつもはハロがいるからな。癖になってるんだろうな。ご指摘ありがとさん。」

「とこころで何をするんだ?スメラギ・李・ノリエガからミッションプランはまだ届いてないようだが。」


先程の独り言の内容にいついてだろうか。

「あぁ、さっきのはだなぁ…これだ。」

ベストの胸ポケットから取り出し、ティエリアの眼前につき出す。

「…ハサミ?」

細いフォルムの金属製のハサミは、通路の室内灯に照らされ輝きを増している。

「刹那の髪のカット、俺がしてるのは知ってるだろ?伸びてきて煩そうにしてるからそろそろ切ってやろうかなと思って。…まぁ今日は中止にするけどな。」

「髪か。」

ティエリアが自身の髪を一房掴み眺める。取り逃した髪の毛はするりと指を離れゆっくりと肩へ落ちる。

「そういや、ティエリアはどういった店で髪切ってんだ?」

「どこにも行っていないが。」

「え…じゃあどうしてるんだ?」

「自分で整えている。」

「え…それ自分で切ってんのか?」

「ウ゛ェーダでシュミレーションし、切る長さを割り出す。」

「うわ…そんなことしてたのか…。」


確かに、計算しているだけあって髪の裾は寸分の狂いなく綺麗に切り揃えられている。クセの無い直毛にはとても映える髪型だと思う。

光の加減で紫色に発色する髪の色も珍しい。

緩くカールした俺の髪とは全く違う物だ。

どうしてこんなにも違うのだろう。


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