R×T


□声音の螺旋 U(完成)
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ドサッ…


制服のジャケットが皺になるのも構わず、

ティエリアはそのまま自室のベッドへ俯せに倒れ込んだ。

眼鏡がベッドの掛布団に押されるのが煩わしく、
ベッドの隅に放る。




「ーーっくそ…」




身体を丸め、耳を塞いても、
流れ出した記憶の中の声を止められない。




貴方が、鼻唄の様に歌っていたあの歌。




安らかな歌声に己の耳を侵され、
気付けば眠ってしまったこともあった。

あんなに心地好く眠りに引き込まれたのは、初めてだった。




今、貴方は安らかに眠れているのだろうか…




…そうだ、今度は、私の番だ。




ティエリアは眼を閉じ、記憶の中の歌声に己の声を重ねる。




その声は本当に小さくて、唇を抜けた側から室内に消えていったけれど。




閉じていた緋色の相貌をゆっくりと開くと、
自室の窓ガラスが遥かな宇宙空間を写し出していた。




今は、こんなことしか出来ないけれど。




貴方の遺志は私が果たしてみせる。




だからどうか、
今だけはどうか、安らかに。




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