R×T


□紫煙の渦 another story
(貴方の恐ろしい言葉が聴こえた)
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プトレマイオスのガンダム格納庫。

ダークグリーンの塗装が施された
ケルディムガンダムの表面を這うように、
うっすらと紫煙が立ち上る。

ケルディムガンダムの搭乗者、
ガンダムマイスターであるライル・ディランディ、
コードネーム「ロックオン・ストラトス」は、
ガンダムと同じグリーンを基調とした制服を身に纏い、
溜め息と共に吐き出された煙を見つめ、
その先のケルディムガンダムの外装へ視線を移す。

まだほんの数回の戦闘に出撃しただけだが、
既に外装には無数の傷がついている。

所々深く抉られている箇所もある。


「生半可な気持ちで搭乗してたら、本当に死にかねないよなぁ。」


(特に、俺みたいな立場の奴なら尚更…だな。)




カランッ…




軽い金属音と共に、
後方からナットが転がり込んでくる。

それはライルの制服のブーツの踵に当たり停止した。

ナットが流れて来た方向へ視線を移動させる。

10メートル程先に、ライルと同じ制服姿が見えた。
顔を上げ、相手を確認する。


アイリス色のジャケット、

肩下で切り揃えられた夕闇色の髪、

細い銀のフレームの眼鏡越しに揺れる
緋色の瞳。

トレミーのメンバーの一人、
セラウ゛ィーガンダムのマイスター、
ティエリア・アーデ。


「…ティエリア…?」


いつもの毅然とした態度はどこへ行ったのか、
何故か今は、苛立っているような、
もしくは直ぐにでも泣き出しそうな顔をしている。





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