R×T


□絡まぬ螺旋 T
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気が付いたら、人目を避けるように展望室に来ていた。

柔らかいカーブがつけられた強化ガラスの向こう側は、深海の深い緑青。

スライドドア脇の壁面にもたれ掛かり、一面に拡がる緑青を眺める。

ゆったりとした深海の流れを眺めている内に、身体ごと吸い込まれそうな感覚に囚われ、回避しようと両眼を閉じると、今度はドロリとした感情の波が体内を駆け巡る。



『違う…あの男は彼じゃない。』



何度も心の中で繰り返した言葉。



そうだ、判っていたはずじゃないか。



何を期待していたんだ、僕は。



「…何を、求めていたというのだ…彼に。」


無意識に零れた言葉は展望室内に溶けて、己の身体は思考の海へと溺れていく。



「ライル…ディランディ…。」



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