HERO GIRL

□ミス才源とデートと尾行
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「パフェ美味しかったねぇ」
「うん!」
「蛍介も甘いもの好きだったんだー」
「地味子ちゃんて、コーヒー飲めなかったんだね」
「紅茶なら飲めるよっ」




一つずつだが、お互いの事を知っていくのは楽しい
会話にも事欠かないし、何より距離が縮まっていくのを感じた




「えぇと、次はどうしようかな――」
「お、ゲーセンだ。食後の運動にどう?」
「パンチングマシーンか…いいね」




楽しそうだ、と蛍介は微笑んだ

デートと言うには、少し堅苦しく考えすぎていたのかもしれない
友達と遊んだりするのは、本当に久しぶりで――楽しい事ばかりだ




「プリクラも撮る?」
「プ、プリクラ!? 地味子ちゃんと!?」
「あ、やっぱり嫌だよね。そうだよね、私なんかが…」
「いやいやいや!! 撮る! 撮ります!!」
「わーい。じゃあ入ろうー」
「あれ、僕、嵌められた?」




それでも本当に楽しくて、自然と笑顔になっていた
女の子なのに、緊張もしている筈なのに、どうしてこうも自然体でいられるんだろう…




「ぬいぐるみゲットー」
「うまいね、地味子ちゃん。二個も?」
「へへっ。翔瑠がよくやってたのを見てたんだー」
「見ただけで!?」
「はい。これは蛍ちゃんにあげてね。こっちは蛍介に」
「え…」




UFOキャッチャーの景品を二つ、地味子は蛍介に渡した




「僕と、蛍介に…?」
「うん。お土産だよぅ」
「そんな…いいのに。蛍介にまで…」
「蛍ちゃん家で寝てるんでしょ。今日は仕方ないけど、今度は三人で来られたらなーって」




そう言って、彼女は微笑んでいた
そうだ、彼女は――僕が同じ『蛍介』だなんてしらない
もちろん、友達だって、母ちゃんだって、誰一人――


元の身体の蛍介のことなんて、僕でさえも考えてなかった
彼女は――どうして、夜の自分の事なんか…

そう思うと、何だか胸がどきどきした



「え。何で――」
「ん? 何が?」
「あぁ、いや…何でもない、よ…」




何だろう、急に地味子ちゃんの顔が見られなくなっていた
自然と俯いていたら、彼女は急に腕を引いて来た




「えっ…」
「次は何処に行く?」
「えーっと、地味子ちゃんが行きたいところなら、何処でも」
「蛍介と決めたいの。私だけが決めても面白くないし」
「う、うん――」




それからゲーセンを出て、ショッピングモールに行ったり、お店をあちこち見たり――


本当に楽しい時間が過ぎて行った




「…蛍介ぇえええ」
「地味子ちゃぁああん」
「…なぁ、瑞希。もう帰らねぇ?」
「そうねぇ…あの二人はどうするの?」




行く先々で美怜と道也の嫉妬渦巻く形相に、流石に流星も瑞希も疲れていた




「あ? ほっとけ」



バスコは飽きもせずにじーっと、蛍介達を観察している
翔瑠はどうしようかと溜息を吐いていた




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