HERO GIRL

□私と新入生と嵐の転校生
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「地味子、もう飯は食ったのか」
「うん」
「…パン一つだな」
「何でバレたの」



晃司には何でもお見通しなんだなぁ
両手に抱えた可哀想なパンたちを見て、晃司が肩を竦める




「落ちたものは食べるな。お腹を壊す」
「でも…」
「それは俺が貰う」
「地味子、今日は俺が奢ってやるよ。何が食いたい?」




翔瑠がとても優しい事を言ってくれたので、お言葉に甘える事にした
学食で券を買うの、久しぶりなんだよねぇ

何にしようか悩むな、うーん…




「そう言えば、一人なのか?」
「ううん。蛍介や森永と一緒なんだけど…」
「森永って奴はあそこだろ。蛍介は見当たらねぇけど…」
「えっ」




其処には、一人でご飯を食べている森永の姿があった
その何処にも蛍介の姿はない
まだ注文口で並んでいるのだろうか
それにしては長い気がするし、今は私達が並んでいるからそれもない



蛍介、何処に行ったの?







「…」




学食内が騒がしくなって、何だろうと見てみたんだ

そしたら地味子ちゃんが誰かと居るのが見えた
その相手に僕は、嫌と言うほど身に覚えがある



――今西が、転校してきた…!!?

僕を追って? ううん、そんなはずはない
たまたま?


大丈夫、学科も違うんだし、不用意に出歩きさえしなければ見つからない
学食もひっそりと食べて、直ぐに教室に戻ればいいだけだ


大丈夫


大丈夫…!


だから僕は、地味子ちゃんが絡まれているのを忘れて、逃げ出してしまった


それくらいに、今西の存在が怖かったから





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