HERO GIRL

□不運と告白は突然に
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『――今日の最下位は…ごめんなさい! ○○座のあなた! 今日は何をやっても駄目でしょう。特に十代の今から家を出る貴方。大人しく家で過ごすことを強くお勧めします』



…あ、これ完璧私だわ
寧ろピンポイントだわ

お姉さんがそう言うのなら…



「お母さん、今日は休むね」
「ちゃんと学校に行きなさい」
「はぁい」



何て事だ
朝のお姉さんにの言う事に、早速反してしまうらしい

もう今日一日は、大人しく過ごせるかも不安だ




「折り畳み傘を持って行きなさいね」
「今日は雨が降らないって。お天気お姉さんが言ってたよ?」
「お天気お姉さんも外す時は外すのよ」
「…こんなにいい天気なのになぁ」



真っ青な空
じりじりと照り付ける太陽に、梅雨をすっ飛ばして夏が来るんじゃないかって言う勢いだ

お母さんはそう言うけれど、鞄の中に入れたら邪魔になるし…うん、無視しよう。そうしよう



「行ってきまーす」



結局、折り畳み傘は持って行かない事にした
朝のお姉さんのアドバイスに反し、お母さんの忠告を無視したせいか、今日は時間に余裕があった筈なのに――




「お前、遅刻な」
「おっふ…嘘だ」



何故か私は遅刻をしてしまった
始業ベルが鳴ってから教室に入れば、遅刻扱いになるのは目に見えている

二年生になったら遅刻・欠席・早退には気を付けていようと思った矢先の事だった
トボトボと自分の席に着けば、隣の明里ちゃんがそっと声を掛けて来た



「おはよう地味子、運が悪かったわね」
「うん。今日はツイてない一日みたいなんだ…」
「そうなの?」

「今日は朝から歯ブラシの歯磨き粉が出なかったし、トイレに行くと紙がないでしょ。信号には全部赤で捕まるし、小学生にカツアゲしているワルを見つけて制裁してたら、こんな時間になっちゃった」

「…そ、そうなのね」



自分でも運の悪さに驚いているくらいだ
何をしても裏目にしか出ないなら、授業を受けたって仕方がないと思う

そう言う訳で早速眠るとしよう――



「あ、地味子。先生が…」
「起きろ」
「…あいたっ」




誰かな、私の頭を叩いたのは…ってなんだ、先生か



「遅刻して、しかも授業中寝るとはいい度胸だな…」
「痛いです、先生」
「痛くしてやったんだ。当然だろ」
「どうしたんですか。私を起こすことはもう諦めたんじゃ…」
「俺も二年生になってまで、こんなことしたくねぇよ」




今日に限って、先生は私を起こしたいようだ
やっぱり私は不運だと思う

何しろ授業の全部で忘れ物をしていた
教科書、ノートは勿論の事、宿題の存在ですら忘れていた

運が悪いっていうか、もう私の頭を疑うよね
学校に何しに来ているんだって言いたい


更には、授業の内容すらもう解らない
現国なのになんで今、数学の時間なの?



「地味子…今は数学の時間よ。それは現国」
「えっ。何それ怖い」
「ついでに言うと、教科書が逆さまなのに気づいてる?」
「えっ。何それ不思議」



何これミステリー
本当に大丈夫?何て明里ちゃんだけでなく、蛍介からも心配されてしまった


本当に私は、何しに学校に来たんだろうね




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