HERO GIRL

□私とグラサン男と超絶美人
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少ししてから、注文されたコーヒーと紅茶、ケーキが運ばれてきた
凄いよまだそんなに時間経ってないのに、手際がいいね
あれ、店員さん冷や汗流して震えてる…
物凄く緊張しているようだ、譲さんの所為だな、うん





「わー。美味しそう!」
「どうぞ召し上がれ」
「いただきます!」
「ケーキ、好きなの?」
「はいっ。甘いものは好きですよー」




本当に美味しそうに食べる地味子に、明里はふふっと笑いを零した




「まるで子供だな」
「可愛いんだからいいじゃない」
「あのー、明里さんとこの人ってどんな関係ですか? 付き合ってるの?」
「まさか。譲さんは私の…そうね、ボディーガードよ」
「ボディーガード…じゃあ、明里さんは凄いとこのお嬢さんなんだ」
「凄いのは父よ。私は違うわ」




少しだけ明里さんの顔が歪んだ気がした
美人をこんな辛そうな顔にさせる父親って、どんな人なんだろう――

それにしてもこのケーキは美味しい
今まで食べたことのない味だ、ただのショートケーキと思って油断した!
ショートケーキでこの味だったら、他のケーキはどうなんだろう?
くそ、欲張って二つ頼むべきだったかな!




「…」
「明里さんは食べないんですか。美味しいですよ?」
「此処のケーキは私もよく食べるわ。でも今はいいの。カロリーとか気にしちゃうから」
「あぁ…女の子ってそう言うのありますよね」
「貴女は気にしないの?」
「私は筋トレしたりするんで、カロリー消費してると思います。多分」




毎朝、晃司達と一緒に筋トレをしている
あの運動量は地獄だと翔瑠は言っていたが、三年も付き合っていて今更だ

毎朝ランニング10キロ、腹筋腕立てスクワットを100回やって、その後で友達と組み手をしていると言ったら、明里さんに物凄く驚かれた



「何それ…私でもそこまでしないわ」
「これで女だと言うんだから勿体ない」
「え、何が?」
「譲さん…また試そうとか言うんじゃないわよね。止めてよこんなところで」




試されるのはごめんだ
今はこのショートケーキと紅茶の美味しさに浸りたいのだから




「お前、また強くなったか」
「は? まあ、いろいろ経験値は積んでますが」




刃物の防御力と対クレイジーの忍耐と、デンジャラスな変態への耐性
明里さん達に会ってから今日まで、色々あったから




「お前、色々と面倒事に巻き込まれているみたいだな。ニュースを見た」
「あぁ…コンビニ店員のやつですかね。あれはクレイジー過ぎました」
「倒したのか」
「えぇ、まあ。でも最後は結局、幼馴染が倒しましたけど」
「え、何の事?」




どうやら明里さんは知らないらしい
経済的なニュースは見るけれど、犯罪関連のニュースは殆ど流し読みだそうだ




「あとは指名手配犯が捕まった件もだ。お前なんだろ?」
「…あれ、なんで知ってるんですか」




ニュースでは、とある学校が合宿した先の職員が指名手配犯だった
通報を受けて警察が捕らえたとされているが、勿論報道されていない部分もある
何でこの人が知っているのか




「指名手配犯って…えっ、貴女が捕まえたの!?」
「あー、いや、私も殴りはしたけど、結局最後は幼馴染が…」
「えぇっ!?」



明里さんは物凄く驚いていたが、辺りを見渡して声を潜めた
自分の上げた声が周囲を注目させていることに、気づいたのだろう



「貴女…本当に何者なの?」
「だからヒーロー…いや、女子高生です」
「凄いわね…」




そう言って明里さんはコーヒーを口にした




「お嬢の世話役にどうだ?」
「ぶっ!?」
「明里さんどうぞ…世話役って?」




いきなり噴出した明里さんにはおしぼりを手渡した
不意を衝かれた様子だったので、可哀想と思った
譲さん何を言うんだろう




「お前は女だから、お嬢と同じ空間に居ても問題ない」
「何それどういう事」
「譲さん止めて! この子に仕事の話を持ち込まないって言ってたじゃない!」
「気が変わった」
「はぁっ!?」



どうして明里さんがそんなに怒っているのか解らなかった
仕事の話って何
この人ってもう何か職に就いてるの?
そう言えばもうすぐ高認とか言ってたけど、それっていつの話?



「女だが、手放すには惜しい人材だからな」
「だからって私の世話役にかこつけて、手元に置いておこうって言うの?」
「面白いだろう」
「そう言うのやめてってば! 私はこの子とは友達でいたいのっ」




え、友達?
なんて恐れ多い…
今度は地味子が紅茶を吹き出しそうになった

まだ会って2、3回なのにそういう風に思ってもらえるのは、とても嬉しいなぁ――




「地味子、譲さんの言うことは気にしないでいいからね?」
「あ、うん」
「…」
「物凄く此方を見ているんですが…」
「譲さんやめて」
「ちっ…」




舌打ちされた、なんか酷い




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