HERO GIRL

□地味子ちゃんと復活といいね
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それを真正面から受けて、晃司には坂木さんに自分の上着を掛けてあげた




「帰ろう」
「バスコ…っ」

「おい…大人しく帰すと思ってるのかよ?」





いつの間にか、神野が復活していた
その手にはバットがあり、晃司の眼前に向けている

よく見れば、スキンヘッドや七三男も復活しているようだ

あらら、あっちも人数が増えちゃったよ――


二人、三人、四人…



わー…あの人たち忍者なのかな
分身の術でも使えるのかなぁ…




「坂木は返してもらう」
「はっ。お前はそいつだけを迎えに来たんだな? だったらそっちの――加藤道也と女を迎えに来たわけじゃないな?」
「…地味子っ!」




…晃司の呼びかけに、少しだけ反応が遅れた

不覚にも、神野に腕を掴まれていた
難なくその腕を掴んだ神野自身も、少しだけ驚いて見せた




「さっきとえらい違いだな、こいつ」
「地味子ちゃん!」
「あー…貴方も忍者?」
「は? 何言ってやがる…」




何処かズレた発言をした彼女に、蛍介は気が気じゃなかった


どどどどどどうしよう…っ!?

地味子ちゃんがいつにも増して変だ!
いや、いつも変だって言う訳じゃ――ない事もないんだけど…っ





「…るな。」
「あ? 何か言ったか?」




神野っていう人の視線が、バスコに向けられた
何か言ってるみたいだけど――バスコ?




――ガッ




「地味子に触るな」
「ぐ、あ…っ!?」




バスコが神野の腕を掴んだ
多分、物凄い握力で掴みかかっているんだと思う

バスコの力は本当に凄いから――僕も肩を掴まれた時はとても痛かったっけ




「ぐっ…! な、なんだこいつ…!?」





尚も力を緩めないバスコに、神野は屈するしかなかった
あんなの喰らったら膝も折れるよね
僕だったらガクブルだよ――って、何で地味子ちゃんもガクブルしてるの!?




「は、はは…やばー、影分身使ってるのかな。ラーメン食べたくなるよね」
「は、離せ…っ!」
「お前が離せ」
「ちっ…!!」




…彼女は何を言ってるのか解らないけれど、とにかく神野の手から解放されたみたいだ


良かったと、ほっと胸を撫で下ろす

そう言えば道也は大丈夫かな?



あ、流星――?




「よぉ。ひでぇ格好だな」
「…な、何で此処に…まさか、助けに――?」
「…勘違いすんな。お前を助けに来たわけじゃない」




流星がそう言うと、道也は明らかに肩を落としていた

この二人の関係は――僕も知っている
道也が流星に言った言葉も――本心だったのだろう

それでも、流星は此処までやって来た…




「借りを返しに来ただけだ。二発もやられた礼のな」
「え…うわっ」
「着てろ。風邪ひくだろーが」
「流星…」




バスコが彼にそうした様に、流星もまた道也に上着を強引にだが、被せてあげた
やっぱり優しいな、あの子…

って言うか流星。二発もやられたの??




「借りを返す、だぁ…?」
「あぁ」
「お前、俺に速攻でやられたの忘れたか? 弱っちぃ癖によ」
「…」





流星は決して弱くはない
寧ろ強い方だ

彼が一度負けたのは――何らかの理由があったからだと思うけど、きっとその口は割れない


解るのは…




「覚悟しろ。今度は皆の前でお前をボコボコに――…」




流星が物凄く速くて




「――し、て…」




物凄く強いってことだけだ




「おるぁああああっ!!!!」
「へぶっ!?!!?!?!」

「わー。殴られ方も倒れ方も古典的だねー」




地味子ちゃん…?? いや、拍手まで――!?


…や、やっぱり、流星は強いな

僕、本当に一度勝ったんだろうか――




「ひ、大翔!?」
「こ、こうなんたら俺達も応援を――」

「喧嘩は駄目だ」

「「ぐああああっ!?!」」



バスコ…君も凄いよね



それにしても、バスコや流星のお蔭で全て丸く収まっちゃったよ




「流星ってばやっぱり速いよねーっ。格好いい!」
「おまっ…照れる事言うなよ」




それでも流星は満更じゃないようで、顔を背けつつも赤くなっている




「それより、大丈夫なのか。お前は?」
「あぁ、うん。大丈夫大丈夫」
「地味子ちゃん、ホント?」
「ホントだって!」
「…にしてはあいつ。なんであんな顔してるんだ?」




それは、バスコだった
此処に来た時と同じように、やっぱり怖い顔をしている

ど、どうしたのかな…!?




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