HERO GIRL

□私と後日談と日常
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地味子ちゃんの為なら、土下座なんて苦じゃなかった
チラッと彼女を窺えば――いいアングルで最高です!

ちなみに今日は、水玉でした!




「道也、スマホ」
「えっ!?」
「スマホ出して」




う、うわー!! ベストアングルで見てた事、もしかしてバレた!?
わざとじゃないんだぜっ!?
た、たまたま見上げたら、その、見えちまったんだ!



「い、いや…あの…」
「出せ」
「はい」




此処で断ったら何されるか解らないぞ!
ただでさえ俺は、彼女に頭が上がらないんだっ


あー。どうしよう、叩き割られるのかな
そう言えば、七三男のスマホを簡単に真っ二つにしてたよな、地味子ちゃん…




…ええええっ。本当に叩き割るのかな!?

あの中には、地味子ちゃんのデータが沢山あるのに!
貴重な『地味子ちゃん』動画だって…!



…あれ、何か操作してる
ちょ、ちょっと待って? もしかして、データ消したりしてないよな? なっ!?




「ああああっ。ちょ、待って。やっぱ返して…っ!」
「はい」
「――え?」




意外にも、俺のスマホは簡単に返された
其処にはなんと――『名無し地味子』と言う名と英語の羅列、それから数字が並んでいた

何これ?




「えっと…」
「私の連絡先。今度から助けてほしい時は、連絡していいよ」
「え」
「あ、でも…明らかに道也が悪いのに、報復されたから助けてとか、次はやめてね。自分で解決してよ?」




嘘…



これが、地味子ちゃんの連絡先…?




お、俺の…


俺のスマホに…


地味子ちゃんの…




地味子ちゃんの!


地味子ちゃんの、連絡先ぃいいいっ!?





「ね。聞いてる? 道也――」
「ぃやったああああっ!!! 地味子ちゃんのアドレスゲットぉおお!!!」
「泣いて喜ぶほどっ!?」
「道也。うるせーぞ」




流星がなんか言ってるけど、まあいいや!
ひゃっほおおおお! 超嬉しいけど…夢か! もしかしてこれ、夢なのか!?



いやいやっ! 確かにあるぞ!

ここに!


地味子ちゃんのアドレスが!




「いえぁあああ!!」
「…煩いな。やっぱり返して、消すから」
「だ、駄目だ! ロック掛けて絶対に消さねぇようにするし!」
「あー、そうですか…。あっ! 明里ちゃん、おはよう!!」
「お、おはよう、地味子。朝から元気ね。彼…」




明里が登校してきたのを見て、地味子ちゃんは席に着いた
つーか、明里の奴、いつのまに地味子ちゃんたちのグループに入ったんだよ?

美怜に瑞希、唯っていう中に明里って…ぷっ




「地味子はもう大丈夫なの?」
「うんっ!」
「そう…よかったわ」




地味子ちゃんの笑顔、ベストショット撮りてぇな。

はっ、そうだ――!




「地味子ちゃん! SOSじゃなくてよぉ…ふ、普段からもメッセとか送っていい??」
「…ほどほどになら」
「よっしゃぁああ!!」
「っ!?」
「明里ちゃんが驚くから、道也は半径125センチは近づかないように」
「前よりも範囲広くねっ!?」





何で俺だけそんな毛嫌いされてんのッ!?

…ははーん、照れ隠しだな、地味子ちゃん!







――道也がどうしてあんなにも喜んでるのか理解できない…


まぁ、元気になったみたいで良かったかな


もう馬鹿な事はしないといいけど――




「地味子、何であんな奴に教えたの?」
「んー。何となく?」
「…じゃ、じゃあ僕にも君の連絡先を――な、何でもないよっ! ぴゅー、ぴゅー」
「…森永は一人で何をブツブツ言ってるのかな、アレ」
「ほっとけばいいんじゃない? いつものことでしょ…それにしても、へたくそな口笛」




唯ちゃん…結構言うね




「地味子ちゃん地味子ちゃん! おはようからお休みまで毎日送るから!」
「要らない」
「えっ」
「道也。人はそれをストーカーと呼ぶのよ?」
「馬鹿か瑞希。俺はストーカーじゃねぇっ」
「あ? てめー。誰に馬鹿とか抜かしてんだコラ」
「すいませんでした。瑞希さん」
「あはは…」



騒がしい――

けど、楽しい。




「お? 今日は名無し来てるなー」
「先生。おはようございまーす」
「おう。一時限目から早速体育だけど、お前大丈夫か? バレーだぞ」
「腕が鳴りますねっ!」
「本当に元気だな。…出席をとるぞー」




皆が笑っているこの空間が、一番


私は大好きだ






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