HERO GIRL

□私と新入生と嵐の転校生
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「…何か、モニターに卑猥な物が映った気がしたんだけど?」
「多分、あの子の所為だわ…!」
「あの子?」
「ううん、こっちの話!」




爽やかな朝を吐き気と共に迎えることになりました
モニターを切り替えられず、コンセント事引っこ抜いてくれたうちの担任には感謝です

あ、今年度も担任は変わらずなんですね




「何だったんだ、今のは…!」
「先生の趣味ですか」
「んなわけないだろう! 俺はもっとこう、ボンッ、キュッ、ボンッが…」
「あ、聞いてないんでいいです」
「俺も自分で何を言い出すかと思ったぞ!」




二年生になっても担任とクラスメイトが変わらないので、自分が本当に進級出来たのかを疑ってしまうくらいだ
でも、教室の札はちゃんと『ファッション学科 二年』と書かれているし、其処は間違いないと思う




「とにかく、今日は始業式だけだからな。明日から授業が始まるぞー。じゃあ号令!」




そうか、もう明日から授業になるのか
ついこの前まで一年生だったのに、もう二年生の授業に入るの?
何だか急ぎ過ぎてないかな、もっと気楽にいけばいいのに
あと、明里ちゃんは何でそんなに怖い顔してるの




「明里ちゃんどうしたの。誰かにメッセ中?」
「えぇ、コージに…あ」
「コージ君? 何で?」
「えぇっと…コ、コンピューター学科にあの子も入学してるのよ!」
「あ、そうなんだ。そう言えば此処に入学するって言ってたかも」



そうか、コージ君はコンピューター学科に居るんだ
同じ学校だけど、学科や学年が違うとなかなか会う機会はない
せめて学食で会う時があればいいんだけどな




「お兄ちゃん、もう終わった?」
「!」
「ん、お兄ちゃん?」
「あっ、蛍介先輩!」
「あ、茜ちゃん!?」




ふと、教室の入り口から顔を覗かせた女の子が居た
茜ちゃん――あの子、確か蛍介の居た芸能事務所の子だっけ

えっと、お兄ちゃんって…誰?




「蛍介さんに会いたくて、私もこの高校を選んじゃいました! 後輩ですね!」
「よ、よろしくね…!」



おお、他の女子に脇目も振らず、蛍介にしがみつくあたり、堂々としているな、この子
クラスの女子達の眼が痛いほど彼女に注がれている



「し、四宮…茜ちゃん、来たよ?」
「!?」
「紅輝も知ってるの? …えっ、妹!?」
「あっ、地味子先輩! その節はお世話になりました!」
「おぉ…礼儀正しい子だ」




今年の一年生はとてもいい子たちのようだ




「改めまして、四宮 茜です! 兄妹共々よろしくお願いしまーす! 早速ですけど、連絡先交換してもらってもいいですか?」

「うんうん、いいよー。どんどん交換しちゃう」
「お前…泣きながら何でスマホ握ってんだ」
「だってこの子、いい子なんだもん…!」
「そんな泣くほど!?」




こうして私のスマホにはまた一人、女の子の名前が登録されました
ホクホクした表情でそれを見つめて、更には気が緩んだのか、思わずニヤニヤしてしまう




「け、蛍介っ。その子なんなの!?」
「茜ちゃんとは、PTJで一緒にレッスンしたことがあるんだ」
「もう辞めちゃったんですけどね。蛍介さんもいないし」
「な、何ですってぇ!?」
「美怜ちゃん。落ち着いて…」




誰かが止めないと、今にも美怜ちゃんが暴れそうな勢いだ
まさに美男美女だと、何処からか声が聞こえる
うん、茜ちゃん可愛いしそれは解る気がするよ




「えっ。何、お兄ちゃん。もう帰るの? 解った」
「し、四宮。ばいばい、また明日ね。茜ちゃんも」
「はいっ」




突然紅輝が茜ちゃんの腕を引くと、慌てた様に教室から出て行った
あれかな、手のかかる妹を持つと、兄は心配なのかもしれない
私は一人っ子だから、兄妹がいるって言うのには少しだけ憧れる




「さて、私も帰ろうかな」
「今日もバイト?」
「うん」
「じゃあ私も行くねっ」




いつもどおり美怜ちゃんが来る約束を取り付けて、教室を出る
バイトまでは時間もあるし、家で少しゆっくり出来るかな




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