HERO GIRL

□私と集金と4大クルー
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ジャージにスカートを組み合わせるだけで、一気に女の子らしさがアップしたと思う
ただし足技が使えなくなる為、攻撃力的には激減した
スカートの中が見えるから、安易な行動は控えるとしよう




「ま、喧嘩する訳じゃないんだしいいか」




普段の筋トレでもジャージ上下は動きやすい物を選んでいる
スカートで組み手なんて論外だ、何しに来てるんだと自分に問いかけたいから、いつもパンツスタイルだ

そして下をスカートにするならば、上もそれなりにお洒落をすればいいんじゃないかと思う
…そう思いはしたものの、よく考えれば相手は淳助さんなので、気合を入れる必要もないかと一蹴した
お気に入りのリュックを背負うと準備万端だ

最後に鏡を見て自分の姿をチェックしなおし、完了すると部屋を出た




「本当に奥さんっすか? あいつのお姉さんとかじゃないんすか」
「あらあら」
「いやー。あの人にこんな美人な奥さんだなんて、ホントに勿体ないっすね!」
「ふふ。おだてても何も出ないわよ?」
「あの人に出会う前に、俺がプロポーズしたいぐらいっすよ!」
「ごめんなさいね。私は子供に興味はないの」
「笑顔で辛辣な台詞! …マジそそるんだけど」



…何あれ。玄関に行くのが怖いんだけど?
変に盛り上がってる二人に近づくのが憚れらたが、お母さんよりも先に淳助さんが此方に気付いてしまった




「ヒュー♪ いいじゃん」
「淳助くん、話し通りの人ね」
「チャラいってことだね」
「あ?」
「ナンデモナイデス…」



言葉が過ぎたようで、淳助さんが睨んで来た
いまいちこの人の距離感が掴めないんだよね
まか、ほぼ私が悪いんだけどさ




「それで。今日はどうしたの?」
「そうそう。ちょっと娘さんをお借りしてもいいっすか?」
「地味子を?」
「久し振りに遊びたいんすよー」
「あらあら。あの人じゃないのね」
「いやー。あの人と遊ぶのはマジ勘弁。命が幾つあっても足りねーのなんのって」




話を聞いているだけでは、余程命に関わる遊びなのだろうか
大人の男の人の遊びって怖いね



「構わないけれど…娘を危ない事に巻き込まないで頂戴ね」
「お母さん…!?」



引き止めてくれるわけでもなく、お母さんはあっさりと了承をした

そこは娘を気遣って止めに入るとこじゃないのっ!?
なんで背中を押してるのさ、お母さん!




「あっは! 任せて下さいよー! ちゃんと護りますって!」
「…護るって何。危ないところに行くの?」
「大事な大事な大事な娘さんっすからね!」
「人の話聞いてます?」



あははと笑ってはいるけれど…淳助さんの眼鏡の奥は笑っていない
良い人そうな顔をしているけど、私でも嘘だって事ぐらいわかる


あれ、これって安心していいのかな?
行く前から恐怖でしかないんだけど――今からでもやめられないのかな、これ



「帰りもちゃんと送り届けますから」
「そうして頂戴ね。貴方の事を信じてるから」
「駄目っすよ奥さん。初対面の男を簡単に信じちゃぁ」
「!?」


待って、今すぐにでも逃げ出したいんですが…!?

そんな悲痛な叫びが届くはずもなく
ただお母さんはそれに笑顔で答えていた



「淳助くんは、あの人が信じた人ですもの。大丈夫よ」
「…」
「何それ? お父さんが何だって?」
「ふーん…じゃ、連れて行くんで」
「あうあう…お母さーん」
「行ってらっしゃい」



ニコニコと手を振る母は、やがて閉ざされた扉によって見えなくなってしまった

もう逃げられないと、思わず小さく溜息が出る




「お前の母さん超美人だなー。あの人にはホント勿体ないくらい!」
「それはお父さんに直接言って下さい」
「デカいし広い家に住んでんのな。あの人金持ってんなー! 刑事ってそんな儲かるの?」
「それもお父さんに直接聞いて下さい」

「デカいっていやぁ、お前の母さんはデカいけど…娘のお前はお世辞にもそうとは言えねぇな。これからデカくなるのか?」

「それは知らないです!!」




一体何処を見てそんな事を言うんだろうか…!?
思わず胸を押さえて隠してしまった




「俺が手伝ってやってもいいけど?」
「何をですか!?」
「さあ? …ぷっ。顔が赤いぜ」
「誰の所為ですかねっ!?」



もうやだ、この人
私をからかって面白いんだろうか!




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