HERO GIRL

□私と回想とお正月
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美怜ちゃんが晃司へ写真を送ると、帰って来たのは――



『(´・ω・`)』だった



「何これ。可愛い」
「見て見て翔瑠! 大吉だよ!」
「お前、去年もその前も大吉だっただろ」
「えっ。地味子ってば運良すぎ!」
「寧ろ大吉しか出た事ないんだけど…」




他のを見た事がないから、余程私は運がいいんだろうか
それにしては、ご利益が全く感じられないんだけどな

そこまで望むことは、逆に神様に悪いだろうか




「神様に愛されてるのかもねー」
「えー。そんなことないよ」

「願い事なら全部叶えてくれるんじゃない? そう言えば地味子は何を願ったの?」

「えっ。ひ、秘密…」




言葉にしたら、それが叶わないような気がして、気軽に言えなかった

此処の神様は本当にいい仕事をするから、願った事が現実にって言う事も少なくない
それには願い事をした人間の努力も勿論含まれるけれど…結果的に叶ったと言う事になる

そう考えると、本当に神様凄いな



「私はねー。ぶーちゃんと…きゃっ。恥ずかしくて言えないわ!」
「…蛍ちゃん? そう言えば初詣に誘うって言ってなかった?」
「ぶーちゃん、お正月は実家に帰るんだって。お母さんと」
「お母さんと?」
「正確には、お父さんの実家なんだってー。うう、ぶーちゃんいつ帰ってくるのかな…!」




何日か帰省の為にバイトをお休みするとは聞いていたけれど、なるほどそう言う事か
蛍ちゃんに会えないのは寂しいが、それは他の友達も一緒だ
皆、帰省したり、旅行に行ったりと、お正月は何かと忙しい

中には出稼ぎに行く人もいる訳で――



「暫く会えないのは、私も同じか…」




ぽつりと呟いた言葉

寂しくないと言えば嘘になる
それでも新学期になればまた会えるんだから、今は我慢かな

…あれ、ちゃんと帰ってくるよね?


いつまでとは言ってなかったから、晃司の事だ
学校そっちのけでバイトに励む気じゃ…




「お参りも済んだし、私はそろそろ帰るねっ」
「あ、うん。またね」
「二人の邪魔してごめんね! ばいばい。また学校で!」




あっという間に居なくなった美怜ちゃんを見送って、首を傾げる



「…邪魔って?」
「さあな。それよりおみくじどうするんだ。結ぶのか?」
「持って帰って飾るんだ」
「そうか。失くすなよ」



翔瑠の言う通り、失くさないように晴れ着の袂に入れる
折角出た大吉だ、大切にしよう



「あっ。地味子せんぱーい!」
「茜ちゃん!」



次に会ったのは茜ちゃんだった
この神社、遭遇率が本当に高いと思う
やはり有名神社の名は伊達じゃないのか…!



「あけましておめでとうございます! わぁっ。晴れ着だ。可愛いですね! 似合ってます! 兄共々、今年ももよろしくお願いしますねっ」

「あ、ありがとう。こちらこそよろしく」




褒められるのが慣れていない為、ちょっとばかり気恥ずかしい
すると、茜ちゃんの後ろから紅輝が現れた
どうやら一緒にお参りに来たらしい…紅輝の家って随分離れてるはずだよね?



「え? …うふふ、お兄ちゃんが早く言わないからでしょ」
「紅輝。おめでとー! 今年もよろしくね」
「――(こくこく)」
「あ。こんにちは。四宮 茜です! 遊園地で会いましたよね」
「お、おう。よろしくな」




美怜ちゃんの次は、四宮兄妹に会った
もし次に流星か瑞希ちゃんに会ったら、この神社の遭遇率は半端ない事になるよ



「そうだ。折角晴れ着を来てるんだし、写真撮りましょうよ! ほら、お兄ちゃんもっ」
「お父さんみたいなこと言うんだね」
「お父さん…? すみません、ご迷惑でしたか?」
「そんなことないよっ。勿論いいですとも!」



茜ちゃんのキュートさとお父さんのウザさに比べれば、ダントツで茜ちゃんに軍配が上がる
そりゃもう、喜んで写真を撮りますとも!



「よかった! じゃあ彼氏さんも入って下さいね」
「お、俺も? つーか、彼氏じゃねーって!」
「そうなんですか? まあいいからいいから」
「さっきの美怜並みに良い性格してるな、この子…」



翔瑠がなんか言ってたけど、茜ちゃんは本当にいい子なんだからねっ

それにしても四人でどうやって写真を撮るんだろう…
あ、紅輝が自分でシャッターを押してた
遊園地でも晃司がカメラを取っていたし、背の高い人が撮影役だと自撮りでも十分映るんだね



「お兄ちゃん、良かったね」
「!」
「ん。何の話? 気にしないでって? うん、解った」
「会話出来るのが凄ぇよ、お前…」



色々な人に言われたことがあるけれど、まさか翔瑠から聞くとは思わなかった
私からすれば、晃司の居場所がいつでも何処でも解る翔瑠の方が、凄いよ
だって私、テレパシーなんて使えないからね!





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