HERO GIRL

□私と写真と思い出
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「ねぇ、皆で写真撮ろうよ」
「はぁ?」
「何か青春って考えたら、急に撮りたくなっちゃった」
「何だそれ。めんどくせぇ…」
「はいはい! 俺、地味子ちゃんの隣!」



…早くも道也が横に並んできた
それを皮切りに、美怜ちゃん、瑞希ちゃんが賛同してくれたからいっけどね



「いいよ。撮ろう!」
「地味子が自覚した記念にねっ。ツーショットなら道也じゃなくて、お髭の人でしょ!」
「!?」
「いってぇっ! 押すなよっ!?」
「す、すまない…ぶつかった」
「そんな記念要らない」




ついでに言うと、何でツーショットなの
私は皆で撮りたいって言ったよね?

集合写真だよ、私が撮りたいのは!




「ねぇねぇ。バスコがまた泣いてるよ?」
「何で泣いてるの晃司。道也が何かした? 殴っていいよ」
「地味子ちゃん!?」
「弱い者虐めは駄目だ。ワルのする事だ」
「あぁ、そっか」
「うぐぐ…! 仲良しか!」



写真を撮るのいいが、皆でとなると問題が生じる



「誰が撮るの?」
「俺が撮ってやろうか」
「駄目。翔瑠も入らないとお髭の人が入らないし、地味子だって嬉しくないでしょ?」

「いや、私は別に…」
「俺も――って、おい?」
「いいからいいから!」



それでも美怜ちゃんがぐいぐいと引っ張って、翔瑠を引き入れた
でも、やっぱり誰が撮るのか決まってない

どうしようと悩んでいると、誰かの声が聞こえて来た




「あ、あれーっ。皆してどうしたの。あっ、記念写真? いいね。ぼ、僕も入ろうかな、なんて…」

「丁度よかった森永。写真撮ってくれよ」
「う、うんっ…え、撮る方?」
「ありがとう森永。私のスマホ使ってくれる?」
「う、うん。地味子ちゃんがそう言うなら…!」



良かった、運よく森永がシャッターを押してくれるみたいだ

ありがとう森永、偶然近くに居てくれたおかげで助かったよ
でも何で記念写真だなんて解ったのかな?






――皆で撮った写真は、私の部屋の机の上に飾られた

最初は一つのフレームだったそれも、大切な写真が増える度に、同じく一つ、また一つと増えて行く
お蔭で最近は勉強するのにも場所を取ってしまった
まあ、普段から勉強しないからいいんだけどね

いつか、机を写真立てが埋め尽くしそうでちょっと怖い…
今度、ちゃんとしたアルバムかピクチャボードを用意するとしよう



「随分増えたわね」
「お母さん」
「全員お友達なのね。…いい顔してるじゃない」
「ふふん。証明写真じゃなくなったでしょ」
「まだまだ笑顔は固いけどね。晃司君の所為?」
「はっ。お母さん、何言ってんの!?」
「ふふ…」




あれ、私はお母さんにまだ言ってない筈だけどな
それとも私が考えすぎなのかな

とりあえず、お父さんに知られたら面倒だから、暫く黙っていよう




「学校は楽しい?」
「うんっ」
「そう、よかった」



私が楽しいと思う証拠

それは机の上の写真たちが、確かに証明してくれていた――




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