HERO GIRLA

□私の幼馴染とデートと花火A
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――翌日

天気は快晴
絶好のデート日和って奴だ

今日はまだ、バスコと会っていない
朝、メッセのやり取りをしたけれど、デートの準備でちょっと忙しいようだった
昨日の放課後から、四宮に任せっぱなしにしてしまったが、結局彼がどうなったのか、俺にも解らない


そろそろ約束の時間だった
とりあえず、待ち合わせ場所に俺も向かう事にする

デートをするのはバスコなのに、何だか俺の方まで緊張してきた
バスコは大丈夫かな…



「…ん?」

「う、嘘だろっ!? 完全に浮気じゃないか! いや、その前に――100%フラれる! あんな美人、バスコには勿体ない! 無理、絶対無理!」



物陰に隠れている見知った人物を見つけた
雨宮だった

どうしてこいつが此処に居るのか
理由は恐らく俺と同じなのだろう



「お、俺はこの辺に用があって、たまたまここに来たんだからなっ」




そして、自分に言い聞かせるように言い訳をする雨宮
こんなに動揺するなんて、とても珍しいと思う

やっぱりバスコが気になるのか――
よく突っかかってくるし、何だか最初からバスコを知っているような感じだし…

おっと、そうだ
バスコとデートをするって言う女は、一体どんな――おん、な…



「っ!?」



待ち合わせ場所には、すでに女の姿があった
誰もが振り向く超絶美人

ファッション一つとっても、途轍もなく女の子らしい…
いや、女なんだよホントに!

あんな美人が、バスコのデート相手だとは夢にも思わなかった



「フラれるな。絶対にフラれる…」
「だ、だろっ? 俺もそう思う…って、何でお前が此処に!?」
「お前こそ!」
「た、たまたまだ! そう言うお前は!?」
「お、俺はバスコが心配で…!」



お互いに、バスコが心配だと言う事がよく解ったところで、今一度例の女を見る
何度目を擦って見ても、彼女がバスコのデート相手であることは間違いない

何であんなに美人で、しかも可愛いんだ?



「…おい、あんな美人だなんて思わなかった」
「あぁ、何かの間違いであってほしいぜ」
「今からでも遅くない。バスコに連絡したほうがいいぞ。そして断れ!」

「ドタキャンはマズいだろっ。あの顔を見ろよ、バスコに会うのを、物凄く楽しみにしてるじゃないかっ」

「た、確かに…!」



女の子は頬を染めて、何度も腕時計で時間を確認している

『待ち合わせで相手を待つことは、デートの醍醐味』
あの雑誌にそんな事が書いて会った事を、ふと思い出した

駄目だ、断れねぇ…!!



「――って、バスコはまだなのか? もうすぐ時間だろっ」
「もうそろそろ来ると思うんだが…」
「初めまして」



き、来た…!



「馬場 晃司だ」



…俺は今、夢でも見ているんだろうか

あんな超絶美人がバスコのデート相手で、そのバスコが…一瞬、誰だか解らなかった


服がまずいつもと違う! 何か高そうなブランドものだ!
髭も剃っている!
髪が整えられている!

何もかもが、バスコとは正反対だった



「「!?!?!?!?」」



何と言う事でしょう!
劇的な変身を遂げたバスコを、今度は道行く女が振り返っている

何処からどう見ても、お似合いの二人としか思えない
いや、それはマズいんだけどなっ!

俺の知っているバスコは、見る影もなかった

隣を見ると、雨宮も呆然としていて、開いた口が塞がらないようだ



「誰だあれっ!?」
「マジか、ホントに髭を剃って服まで…」
「あ、あれがほんとにバスコなのか? まるで別人じゃないか!」



其処は四宮に感謝だった
きっとバスコの為に、ありとあらゆる手を尽くしてくれたに違いない

お前の雄姿は絶対に忘れないぜ…!


とうとう出会ってしまった二人だが、デートはまだ始まったばかりだ
此処からどうなるのか、俺にも全く予想がつかない

せめて彼女をどうにか楽しませるんだぞ、バスコ…!
俺は陰ながら、お前を見守っているからな!




「あれ。翔瑠、何してるの?」
「見たらわかるだろ。バスコのデートを尾行して…」
「え、晃司がデート? 誰と?」
「お前…っ!」
「地味子―!?」



嘘だろ…

何でお前が此処に居るんだよ!?




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