小説

□月は笑う〜ゆずれない想い〜
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誰にも渡したくない。
そんな感情誰にでもあるでしょ。

奪われたくない、失いたくない。

いつからこんなに貪欲になったんだろう。
大好きだから僕だけのものにしたい。


誰にもゆずれない想い・・・


誰にも兄さんは渡さない。
枢木卿にも妹のナナリーにも皇帝にも・・・
誰にも・・・
僕だけの兄さんなんだ。




だから・・・




僕は考えたんだ。

奪れる前に兄さんを殺して・・・
僕も死ねば、兄さんと僕の二人だけ。
ずっと、
僕だけの兄さんになる。



だから、兄さん・・・



ほんの少しだけ待ってて・・・


『─バイバイ、兄さん・・・』


直ぐに僕も兄さんの傍に逝くから。


『大好きだよ・・・』



少年は悲しく微笑み涙を浮かべ、そう言い残した。





ー次の瞬間・・・


部屋に乾いた銃声が鳴り響いた・・・

撃たれる瞬間、兄さんは微笑んでいた。
まるで、何もかも分かっていたかのように。


【愛してる、ロロ・・・】



涙が零れる前に僕は再び引き金を引いた。



パーン!!!



窓に飛び散る紅い雫。



それは、独占欲が招いた悲劇。




煌々と光を放つ月だけが笑っていた。





〜FIN〜
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