小説

□その愛で溶かして
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まだ寒さが残る2月の空。
木漏れ日が差す、自室の窓辺に少年はいた。
何かを考えているのか眉ひとつ動かさず、ただずっと外を眺めている。


『……はぁ〜』


沈黙が続いていた部屋に、溜め息だけが洩れた。
少年は項垂れながら、部屋の隅に置いてある、お菓子の本を手にとる。
その本の表紙にはでかでかと、まさに今がその時期にピッタリのフレーズが記載されていた。


【好きな人にあげるチョコ。
バレンタインデー】




少年を悩ませているのは、まさにこのフレーズのこと。

別に作るのは苦手じゃない…
でも…

何がそこまで少年を悩ませているか。
それは、相手の反応がどうかだ。
そんなこと誰だってそうかもしれない。
けれど、それはあくまでの相手が異性の場合で。
渡す相手が同性で尚且、自分のたった一人の家族である兄なのだから。
家族ならたいした心配もいらないのでは、と思うかもしれない。
でも、その少年・ロロ・ランペルージ(16歳)が抱いた胸の想いは家族に対するものでなく、
愛する人に向けられた想い。
そう、ロロは家族である兄のルルーシュ・ランペルージに恋愛感情を抱いていたのだった。

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