「…知らねェ」
「そん…な訳無いネ…っ!!」
全然信用されてねーし。まぁ確かにこの少女からしたら信憑性は低いかも知れないが嘘をついている訳ではない。それは事実だった。奴は汗だか涙だか分からない代物をぼろぼろと雨の様に溢しながら叫んだ。
「…あ……マヨは…マヨ達はどうしたアルか…?」
コイツは人を苛つかせる天才か?
「知らねェ」
「…皆…死んだアルか……?」
答えを待つつもりか何も話さなくなった少女を無視し、刀を手に掴む。遠くで声がした気がして、振り向くと蟻の様に小さなな万事屋と真選組の奴等が走ってくるところだった。切ない気分になって少女を見下ろすと、首をだらりとさげ、目は虚ろに天を見ていた。もう、何も見えていないだろうその目に映る空は未だかつて無い程美しい青だった。
「万屋の旦那ァ」
自分の声とは思えない程爽快な声が寒空に響き渡った。
「このガキ、俺が貰って行きまさァ」
肉が裂け躯を貫通したであろう痛みとほとばしる血液が少女の頬を色付かせ青い目が一瞬だけ見開かれた。軈て、少女の呼吸が途絶えた頃、隣の少年も躯を横たえた。
耳を塞ぎたくなるようなノイズ音。
聞こえる人間の声がだんだん小さくなっていく。
せめてもの罪滅ぼしと云うものが
人を殺める、罪と罰。