遊戯王

□君の所為だから平気、なんて、なんて世迷言
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「っ、げほっ! げ・・・っほ、ふ、ぅ、うぅう〜・・・」
「・・・大丈夫?」
 半分苦笑いみたいな顔で問う吹雪をぎろりと睨み返した。

「・・・ぃじょうぶな訳ないだろ! 見て分かれよ・・・っ!!」
 無理矢理声を絞る。ひゅっと音がしてまた咳き込んだ。
「藤原って実は身体弱いよね。結構熱とか出してるし」
 心配するのに飽きたらしい吹雪は、ベッドの横の床に座って肘を付いた。
 分厚いベッドマットが少しだけ沈む。

「馬鹿は風邪引かないと思ってたけど」
「やだ吹雪ってばそれ自分のこと?」
 にっこり。

「身体が弱いのを知っててあんな馬鹿なことに付き合わせたのかお前は」
 飲み物と薬を乗せたトレーを持った来た亮が呆れたように言う。
「だって雪とか珍しいじゃないか」
 数日前、珍しく積もる程雪が降って、それにテンションが上がった吹雪が優介を連れ出したらこうなった、という実に分かりやすい話。
 お詫びにと優介に強要された吹雪は今日アカデミアを休んで、先程授業が終わった亮も覗きに来た訳だ。

「藤原もたまには外に出ないと益々弱っちゃうよ」
「別に俺、弱くないよ。吹雪だって体育サボってばっかの癖に」
「・・・亮は寒いの嫌いだよね」
 話題を逸らすように吹雪が笑った。
「苦手なだけだ」
 淡々と応える。
 折角吹雪を休ませたのに午前中ずっと寝入っていた優介は、熱の気だるさも手伝ってその光景に酷く苛立った。

「じゃあ吹雪とか名前からして嫌われてるじゃん」
 言うと、吹雪は弾けたように笑い、亮は目を細めて片眉を上げた。
「薬を飲んで大人しく寝ておけと鮎川先生から伝言だ。それと吹雪は邪魔をするな」
「えー?」
「うつっても知らんぞ」
 もう遅いかも知れないが。

「薬嫌い・・・」
「我儘を言うな。冷水はあまり良くないからぬるいが我慢しろ」
 言い返す暇もなく言葉が紡がれる。
 何だよ普段無口な癖に。

 仕方なく薬を受け取って水で流しこむ。
 亮の言うとおりぬるいそれは柔らかく喉を滑った。

「ほら、帰るぞ吹雪」
「はぁい。藤原、お大事にね」
 間延びした返事をした吹雪は、優介の額を軽く拭ってやる。

 ・・・優しい、なぁ。

 風邪にかこつけて引き止めたかったが、本当に眠った方が良さそうなので諦めて目を閉じる。
 どこか遠く亮の声が響いた。
「明日の朝も覗くから休むならその時言ってくれ」

 ・・・何だかなぁ。
 本当優しいんだよね丸藤も。
 全く有難くない方向に。

「まるふじ・・・」
 薄く目を開いた優介を亮が覗き込む。

 あ、ちょっとぼやけて見える。
 今涙目なのかな俺。かっこ悪。

「どうした、藤、わ・・・」

 あ、吹雪が見てたら誤解されちゃうかな。
 安心して。
 俺、ちゃんと丸藤のこと大嫌いだよ?

「・・・どう、いう」
 つもりだ。
 熱が上がりそうな鋭い視線。
 優介は小さく舌を出して笑った。

「うつらないかなーと、思ってさ」


 あれ? 吹藤っぽい・・・?
 そっちのが需要はあるのかもですが吹雪さんがカイザー以外に攻めとかないなぁ。
 藤原強化作品第一弾。何気に病弱だったら萌え。

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