□綱吉と山本
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「はぁ」
 半ば投げ付けるように渡された高そうなチョコレートを前に溜め息。
 絶対ビターでしょこれ。箱のデザインからしてそれっぽい。

 獄寺君、基本的にお菓子嫌いって言ってたのになぁ。
 それは甘いものが苦手な味覚によるものが半分、義姉による刷り込みが半分らしい。だからこういうのは本来は見るのも嫌だった筈。
 普段から遅刻も早退も欠席も常習なのだから理由のある時くらい休めばいいのにと俺は思う。
 君にしてみれば理由があるから来たのだろうけれど。

 君は精一杯俺の為に自分がまだ美味しいと思えるやつを探したんだろうけどね、
 俺は味覚お子サマだから、基本辛いものや苦いものは嫌いなんだよね(まぁ甘いのもそんなに好きじゃないけど)。

「ねぇ山本」
「ん?」
 両手一杯になったチョコレートを無造作に鞄へ押し込む山本へ歩み寄り、
「好き嫌いってある?」
「や、特には」
「じゃあついでにこれ貰ってよ」
「・・・でも」
 あっさり受け取ってくれるかと思ったのに、難色を示した山本に微かに苛立って、
「捨てるよりマシでしょ」
 言えば山本はやー・・・、と言葉を濁して苦笑した。

「俺に食われるくらいならツナに捨てられた方があいつは本望だろ」
「・・・けど、」
 思わぬ反撃を喰らい一瞬顔を顰めた俺に、山本は苦笑して今日くらいはいいだろって子供を宥めるような言い方をした。

「バレンタイン、なんだしさ?」


  チョコレートより、平和な2月14日をください


 つー様と山本。これのみ連作です。

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